この記事では、「鋳鉄」と「鋳鋼」の違いを分かりやすく説明していきます。
「鋳鉄(ちゅうてつ/いてつ)」とは?
「鋳鉄」とは、「鉄=Fe」と「炭素=C」、「ケイ素=Si」から成り、かつ「炭素」の含有量が2. 1%以上の合金を指す言葉です。
「鋳鉄」は「炭素」の含有量が大きいため、「黒鉛(=グラファイト)」と呼ばれる元素鉱物が晶出します。
この「黒鉛」の形状は合金の成分や鋳物の冷却速度によって変化し、高い強度や靭性を持たせることが可能となっているのです。
さらに、「鋳鉄」は含有する炭素の状態によって「ねずみ鋳鉄」、「白鋳鉄」、「まだら鋳鉄」の3つに分類されます。
「鋳鋼(ちゅうこう)」とは?
「鋳鋼」とは、炭素の含有量が0. 02~2. 14%の鋼の鋳造品を指します。
先述した「鋳鉄」よりも炭素の含有量が少ないため、溶解温度が高いことに加え、凝固するときの体積収縮も大きいという特徴があります。
そのため、「鋳鋼」の鋳造には高い技術が要求されるのです。
その反面、強度、靭性、延性に優れており、耐食性や耐摩耗性などに優れた材料への加工が施しやすいという側面も持っています。
「鋳鉄」と「鋳鋼」の違い
「鋳鉄」と「鋳鋼」は含まれる炭素の量によって分類され、炭素の含有量が2. 14%以上の鋳物は「鋳鉄」、炭素の含有量が2. 14%未満の鋳物は「鋳鋼」として扱われています。
また、特性の違いにも含まれる炭素の量が多いか少ないかという要素が大きく影響しており、「鋳鉄」は流動性や鋳造性に優れているという特性を持っているのに対して、「鋳鋼」は強度や靭性、延性に優れているという特性を持っています。
まとめ
・「鋳鉄」とは、「鉄=Fe」と「炭素=C」、「ケイ素=Si」から成り、かつ「炭素」の含有量が2. 1%以上の合金を指す言葉です。
・「鋳鋼」とは、炭素の含有量が0. 02~2. 14%の鋼の鋳造品を指します。
・炭素の含有量が2. 14%以上の鋳物は「鋳鉄」、炭素の含有量が2. 14%未満の鋳物は「鋳鋼」として分類されます。