この記事では、「後進」と「後身」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「後進」と「後身」の違い
「後進(こうしん)」とは「先人が切り開いた道を後から続いて進むことや進む人」を意味していますが、「後身(こうしん)」にはその意味は備わっていません。
「後身」の言葉は同音異義語の「後進」とは違って、「元々の性格や環境などが変化した後のその人(その身)」という意味を持っています。
また「後進」の持つ「後ろに進む」というシンプルな意味も、「後身」にはないという点が異なっています。
「後進」と「後身」の使い方の違い
「後進」は「後進のために大きな実績を残したいのです」の文章のように「自分と同じ仕事・学業などの道を後からついてくる後輩」の意味で使うことができますが、「後身」という言葉の場合はそういった使い方はできません。
「車が後進する」に示されるように「車・船などが後方に進む」の意味でも使えますが、「後身」はその意味でも使えません。
反対に「後身」には、「明治時代にあった造り酒屋の後身としてこの会社ができました」のように「元々の会社・集団などが変わって今の形になったもの」の意味で使う使い方がありますが、「後進」にはその意味での使い方はありません。
「後進」と「後身」の英語表記の違い
「後進」を、英語を用いて表記すると以下になります。
“younger generation”“next generation”……自分よりも若い世代・次の世代の人たち。
後輩。
後進。
“younger people”……自分よりも若い人々。
後から続く若い人たち。
後進。
“backwardness”……「後進国」などで使われている進歩の度合いが遅れていること。
“go backward”……車などが後ろ方向に進むこと。
後進する。
「後身」を、英語によって表現すると以下になります。
“reincarnation”……輪廻などで生まれ変わった身。
すっかり変化してしまった後のその人。
後身。
“A used to be~”……Aはかつて~でした。
Aは過去において~でした。
Aは~の後身です。
「後進」の意味
「後進(こうしん)」は、「学問・仕事などにおいて先達が切り開いてきた道筋を後からたどって進むことや後から進む後輩」を意味しています。
また「後進」は、「車・船などが後ろの方向に動くこと、後退すること」といった意味も持っています。
「後進」の言葉は「後進国」で使う場合のように、「先進的ではないこと・文明や経済などの発達水準が相対的に遅れていること」といった意味合いもあります。
「後進」の使い方
「後進」は、「仕事や学業、技能などの分野において自分よりも後からついてくること」や「自分と同じ道を後ろからついてくる後輩」を意味して使われます。
特に、「後進に道を譲る」「後進を指導する」といった慣用句的な使い方があります。
「船舶がゆっくりと後進する」のように、「自動車・船などが後ろに進むこと」の意味でも使用できます。
また「後進国を支援する」の文章が示すように、「経済・文化の発達の程度が相対的に遅い」の意味で使う用法もあります。
「後進」を使った例文
・『我が校ではその部活をしていたOBたちが週末に来校して、後進の指導を熱心にやってくれています。』
・『いつまでも老兵が高い地位に就いているわけにはいかず、後進に道を譲る決心を致しました。』
・『生命工学の研究者としての私の夢は、きっと優秀な後進が引き継いでくれるものと信じています。』
・『サイドブレーキをかけ忘れていると、車が急に後進することがあるのでとても危険です。』
・『後進国と先進国の違いは近代的なものさしによるものに過ぎず、後進国にも独自の素晴らしい歴史や文化があるのです。』
「後進」の類語
「後進」の類語には、以下の言葉があります。
・『後輩(こうはい)』……同じ学校・会社(職場)・部活(サークル)などに所属していて、自分よりも年齢が低かったり入社年度が遅かったりする人。
・『後退(こうたい)』……前に進むのではなく、後ろ向きに下がること。
「後進」の対義語
「後進」の対義語には、以下の言葉があります。
・『前進(ぜんしん)』……後ろ向きに進むのではなく、前向きに進むこと。物事や仕事などを、目標達成に向かって前に進めること。
・『先進(せんしん)』……国や地域の経済・文化の発展水準が相対的に進んでいること。相対的に経済活動や文化活動のレベルが高いこと。
「後身」の意味
「後身(こうしん)」とは、「環境・目的・性格などが以前とは完全に変わってしまった後の身」を意味しています。
「後身」には、「輪廻を前提として生まれ変わりを果たした後の身・自分」といった意味合いもあります。
また「後身」という言葉は、「元々の形態が変わって現在のようになった会社・学校などの組織」の意味を持っているのです。
「後身」の使い方
「後身」は「私たちは神話に残る天女の後身と言われています」のように、「すっかり性格や環境などが変化してしまった後の身・輪廻転生を起こした後の身」の意味で使用することができます。
また「この高校は質実剛健で知られた男子校の後身です」で示されるように、「学校・企業などの昔の形が変化して現在のような形になったもの」といった意味合いで使う使い方が多くなっています。
「後身」を使った例文
・『悲劇の運命に襲われたお姫様の後身が彼女であると、この地方では信じられているのです。』
・『輪廻転生を信じていれば、動物の魂の後身が人間であると聞かされても特別な違和感はありません。』
・『この大学は過去にあった医療専門学校の後身なのですが、現在も多くの有能な医師・看護師を育成しています。』
・『菓子メーカーの後身として生まれた化粧品会社ですが、会社の規模は何倍にも大きくなりました。』
・『女子高の後身である当校は今は共学の進学校ですが、女子高時代の淑女教育の伝統も残っています。』
「後身」の類語
「後身」の類語には、以下の言葉があります。
・『転生後(てんせいご)』……輪廻転生で生まれ変わった後のこと、生まれ変わった後の身。
・『現在の姿(げんざいのすがた)』……過去にあった会社・学校などの形が変わった後の今のかたち。
「後身」の対義語
「後身」の対義語には、以下の言葉があります。
・『前身(ぜんしん)』……今のような形態や姿になる前の会社・学校などの組織。ある人の過去の身分や職業・地位。
まとめ
「後進」と「後身」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「後進」と「後身」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。