よく似た絵を描く技法として「トレス」と「模写」があります。
この二つの技法は具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「トレス」と「模写」の違いを解説します。
「トレス」とは?
「トレス」とは、「元になる絵や字をなぞって写し取ること」を意味する言葉です。
「トレス」の使い方
絵や文字などをそっくりそのまま写し取りたい時に用いられる技法で、写し取る対象の上に裏が透けて見える薄紙をのせ透けて見える線をなぞって写し取ります。
近年はコンピューターを使って元になる絵や字を取り込み上書きするようになぞりながら写し取っていく技法が用いられています。
「トレス」は英語で「跡」を意味するtraceに由来し、元になる絵や文字の跡をたどって再現する手法全般を指す言葉です。
「模写」とは?
「模写」とは、「元になる作品を見てそっくりに描くこと」を意味する言葉です。
「模写」の使い方
異なる作品を見ながらタッチや色合いなどを再現しそっくりに描くことを指します。
目で見たままを再現するので高い観察力と再現する技術力が必要です。
物理的に写し撮るのではなくあくまでも目で見たものを自分の中で処理して作品に反映させるので、同じ作品を模写しても人により出来栄えには違いが見られます。
「トレス」と「模写」の違い
「トレス」と「模写」の違いは「なぞる」行為です。
「トレス」は写し取るように再現するのが目的なのでお手本の上に重ねて線をなぞるのに対し、「模写」はなぞることは雪目で見て再燃するように描き写します。
「トレス」は線を書き写して最終的な作品を完成させるのに対し、「模写」は個別の線ではなく作品そのものを描くという違いもあります。
「トレス」の例文
・『原画をトレスする』
・『裏から光を当ててトレスしやすくする』
「模写」の例文
・『モナリザを模写する』
・『本物そっくりに模写された作品を鑑賞する』
まとめ
「トレス」と「模写」はどちらも作品を写す技法ですが目的や役割が異なります。
混同しないようにそれぞれの正しい意味を覚えておきましょう。