「増築」と「増設」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「増築」と「増設」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「増築」「増設」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「増築」と「増設」の違い

「増築」とは、すでにある建物に、さらに建物を付け加えることです。

「増設」とは、すでにある施設や設備に、さらに建物や設備を付け加えることです。

どちらの言葉にも、ます、ふえるという意味を持つ「増」という漢字が使われており、付け加えるという意味を持つ言葉ですが、何を付け加えるのかという点で意味が違います。

「増築」の場合は、付け加えるものが建物です。

今ある建物に、さらに新しい建物を付け加えることをいいます。

「増設」の場合は、付け加えるものが施設や設備です。

今ある施設や設備に、さらに新しいものを付け加えることをいいます。

「施設」とは、ある目的のために作られた建物のことです。

たとえば、図書館、公民館、学校、博物館、美術館などがあります。

建物というと人が住むための家のことも公民館や学校などのことも指しますが、「増設」は人が住む家のことは指しておらず、施設のことを指すことが一般的です。

今ある住宅にさらに建物を付け加えることは「増築」で、今ある図書館にさらに建物を付け加えることは、「増築」とも「増設」ともいうことができます。


「増築」と「増設」の使い方の違い

建物を付け加えて建てることについて「増築」を使用します。

建物の中でも施設や設備を付け加えることについて「増設」を使用します。

どちらの言葉も、今あるものに付け加えるという意味で使用されており、何もないところに新しく建物を作る、設備を設置するといったことには使用しません。


「増築」と「増設」の英語表記の違い

「増築」は英語で“extension”と表現をします。

「増設」は英語で“expansion”と表現をします。

「増築」の意味

「増築」とは、今ある建物に、さらに建物を付け加えることです。

「建物」とは、人が住む、仕事をする、物を入れるなどの目的のために作られた構造物のことです。

住宅、会社、倉庫、工場などがあります。

こういった建物に新たに建物を作って加えることが「増築」です。

何もないところに新しく作ることではなく、すでに建物があり、そこにさらに建物を付け加える意味になります。

たとえば、今ある家に茶室が欲しいと考えたとします。

すでにある部屋を茶室に変える方法と、新しく茶室を建てる方法があります。

すでにある部屋、たとえば子ども部屋を茶室に変えることは「増築」ではありませんが、すでにある家に新しく茶室を建てることは「増築」になります。

「増築」には、どの場所に付け加えるのかとう意味は含まれておらず、台所の隣に付け加えることも、リビングの隣に付け加えることも「増築」になります。

新しい部屋を作ることではなく、すでにある部屋の床面積を広げることも「増築」といえます。

4畳だった部屋を6畳にするなどです。

壁を取り払って部屋を広げることは「増築」ではありませんが、今庭になっているところに新しく建物を作り、今ある家とつなげることは「増築」になります。

「増築」の使い方

すでにある建物に付け加えて建物を作ることについて使用をします。

更地に建物を作ることではありません。

また、キッチンとリビングの間にある壁を取り払い、キッチンの面積を広くするなども「増築」ではありません。

今あるものに付け加えるように新しく建てることが「増築」です。

「増築」を使った例文

・『増築工事にかかる予算を出してもらう』
・『増築したことで住み心地がよくなった』
・『増築が必要なのではないかと思う』
・『子どもが生まれて家を増築することにした』

「増築」の類語

「建て増し」が類語です。

現在ある部分に、新しい部分を建てて加えることという意味があります。

「増築」の対義語

「減築」が対義語です。

建物を作り替えるときに、床面積を減らすことという意味があります。

「増設」の意味

「増設」とは、今ある施設や設備に新しく付け加えることです。

「施設」は、ある目的のための建物のことで、公共の施設には、図書館、公民館、美術館、博物館などがあります。

図書館は本の貸し出し・閲覧などの目的のための建物、美術館は美術品の保管・観覧などが目的の建物です。

天文台や研究所など研究施設、軍港や工廠などの軍事施設もあります。

こういったすでにあるものに、さらに加えて設置することが「増設」です。

「設備」とは、必要な建物や機器のことです。

設備にはさまざまな種類があり、たとえば衛生設備、排水設備、厨房設備、電気設備、通信設備、消防設備などがあります。

また、衛生設備といっても洗面台、シャワー、トイレなどさまざまなものがあります。

こういったすでにあるものに、さらに付け加えることが「増設」です。

たとえば、今マンションにはエレベーターが1基あるけれど、さらに1基加えることなどが「増設」になります。

何もないところに新しく設置することではなく、すでにあるものにさらに加えることをいいます。

「増設」の使い方

今ある施設や設備などに、さらに加えて設置することについて使用をします。

何もないところに新しく施設を建てることではありません。

たとえば、更地に大学を新しく作ることは「増設」ではありませんが、今ある大学にさらに学部を加えて設置することは「増設」といえます。

「増設」を使った例文

・『予算の都合上、増設するわけにはいかない』
・『病床の増設を進めている』
・『児童養護施設を増設する』
・『工場の増設に反対する』

「増設」の類語

「特設」「仮設」が類語です。

「特設」は、特別な目的のために設備や器具を設けることです。

「仮設」には、必要に応じて一時的に必要な期間だけ、設備や施設を設けることという意味があります。

「増設」の対義語

「減設」が対義語です。

契約している電力を下げることです。

施設や電力以外の設備を減らすという意味ではありません。

まとめ

どちらの言葉にも「増」という漢字が使用されており、増やすことを意味していますが、何を増やすのか意味が異なります。

「増築」は建物を増やすこと、「増設」は施設や設備を増やすことです。