踏むな危険!?
この記事では、「薄氷を踏む」と「虎の尾を踏む」の違いを分かりやすく説明していきます。
「薄氷(はくひょう)を踏む」とは?
「薄氷を踏む」とは、「とても危険な状況にあることの例え」として用いられている慣用句です。
「薄氷」とは文字通り「薄くて割れそうな氷」のことであり、薄くて割れそうな氷に足をつけて、いつ氷が割れて冷水の中に落ちてもおかしくないような危うい状況を例えていると言えます。
儒教の経書の中でも特に重要な9つの書を「四書五経」と言います。
この五経に数えられる「詩経」のうちの一節「戦戦兢兢(せんせんきょうきょう)として、深淵に臨むが如く、薄氷を履(ふ)むが如し」という一節に由来した表現です。
「虎の尾を踏む」とは?
「虎の尾を踏む」とは、「とても危険な行為をしようとすることの例え」として用いられている慣用句です。
虎の尾を踏めば、怒った虎に襲われてしまうかもしれないということから、「とても危険なこと」を「虎の尾を踏むこと」に例えています。
こちらも由来となったのは、先述した「四書五経」の五経に数えられる「易経」の一節であり、「虎の尾を履(ふ)むも人を咥(くら)わず(=虎の尾を踏んでも、噛みつかれない)」という占いの結果を述べた言葉に因んだ表現です。
「薄氷を踏む」と「虎の尾を踏む」の違い
「薄氷を踏む」と「虎の尾を踏む」の違いを、分かりやすく解説します。
「薄氷を踏む」は「とても危険な状況にあることの例え」であり、「虎の尾を踏む」は「とても危険なことをしようとすることの例え」です。
したがって、「薄氷を踏む」は「状況」、「虎の尾を踏む」は「行為」という意味合いを指している点に違いがあると言えます。
「薄氷を踏む」の例文
・『財務管理が失敗したことにより、その会社は薄氷を踏むような経営状況に置かれた』
・『試合では薄氷を踏むような展開もあったが、何とか勝利することができた』
「虎の尾を踏む」の例文
・『昔は恐いもの知らずで、虎の尾を踏むようなことでも平気でやっていた』
・『リーダーの判断に対して部下たちは、それは虎の尾を踏むようなものだと諫めた』
まとめ
・「薄氷を踏む」は「とても危険な状況にあることの例え」として使われている慣用句。
・「虎の尾を踏む」は「とても危険な行為をしようとすることの例え」として使われている慣用句。
どちらも似たような意味に感じますが、「状況」か「行為」かという点に主な違いがありました。