「貧弱」と「軟弱」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「貧弱」と「軟弱」の違い生活・教育

この記事では、「貧弱」「軟弱」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「貧弱」と「軟弱」の違い

「貧弱」には、2つの意味があります。

1つめは、見た目が見苦しくて、他のものよりも劣ってみえること、またそのさまです。

もう一つは、乏しくて必要を満たすのに足りていないことです。

「軟弱」にも、2つの意味があります。

1つめは、質が柔らかくて弱いことです。

もう一つは、意志や態度に引き締まりがなく確かでないこと、相手のいいなりになりやすいことです。

「貧弱」にも「軟弱」にも、よわいという意味を持つ「弱」という漢字が使用されており、2つの言葉が意味するものは同じように感じますが、それぞれの言葉が持つ意味は異なります。

「貧弱」は、貧しそうなことです。

見た目が見苦しく貧しそうに見えたり、貧しいために必要なものを満たせていなかったりする意味合いがあります。

実際には貧しくなくても、そのような感じという意味合いです。

たとえば、質の悪いスピーカーがあったとします。

このスピーカーのことを「貧弱なスピーカー」ということができ、この場合は音がでるという最低限の機能しか備わっていないスピーカー、高性能ではないといった意味になります。

高性能なスピーカーを購入するには、高額な費用が必要になることがありますが、最低限の機能であれば比較的低価格なことが少なくありません。

また、高性能なものに比べると機能が不足しています。

「軟弱」は、弱々しいさまのことです。

質が柔らかいと、物の場合だとぐにゃっと折れ曲がってしまいます。

意志や態度が弱いと、すぐに他人の意見に流されてしまいます。

「弱い」には、固くないという意味があります。

固くない、しっかりしていないことが「軟弱」です。


「貧弱」と「軟弱」の使い方の違い

劣っていること、乏しいことについて「貧弱」を使用します。

弱々しい、しっかりしていないことについて「軟弱」を使用します。


「貧弱」と「軟弱」の英語表記の違い

「貧弱」は英語で、見劣りがする意味では“poor”と表現をし、内容な量が乏しい意味では“scanty”“meager”と表現をします。

「軟弱」は英語で“flabby”と表現をします。

「貧弱」の意味

「貧弱」には、2つの意味があります。

1つめは、見た目が見苦しくて、他のものよりも劣っていることです。

Tシャツのことで考えてみます。

Tシャツといっても、生地が透けてしまうほど薄くて、洗うとすぐに首元がよれよれになってしまうものもあれば、生地が丈夫で透けることがなく、何度洗っても首元がよれることがないものもあります。

「貧弱」なTシャツは前者の方です。

よれよれなTシャツは見劣りがします。

生地がしっかりしていて、洗ってもよれることがないTシャツに比べると劣っています。

みすぼらしいという意味合いがある言葉です。

もう一つの意味は、乏しくて必要を満たすだけに十分でないことです。

「乏しい」には、足りない、経済的に貧しいという意味があります。

日本語には、同じことを指すのにもいくつかの表現方法があります。

たとえば、何かを食べて単に「おいしい」ということもできれば、「食感が柔らかくて口の中でとろけてしまう」といったような表現でおいしいことを現すこともできます。

グルメレポーターが、何かを食べていつもいつもおいしいとしか表現できないようなら、表現力が乏しいといえるでしょう。

このようなさまを「表現力が貧弱」ということができます。

「貧弱」の使い方

十分でない、見劣りがすることについて使用をします。

どのような状態が見劣りがするのかは、人によって異なります。

自分ではしっかりしたTシャツを着ていると思っていても、普段から高級なものを見につけている人からすると、「貧弱」に見えることもあるでしょう。

「貧弱」を使った例文

・『貧弱な体つきを何とかしたい』
・『彼の語彙力は貧弱だ』
・『貧弱に見えないように気を付ける』
・『貧弱だと馬鹿にされた』

「貧弱」の類語

「貧相」「みすぼらしい」が類語です。

「貧相」には、貧乏そうな顔つきという意味があります。

「みすぼらしい」とは、身なりがみっともないことです。

「貧弱」の対義語

見た目についての意味の対義語は「高級感」です。

品質が高く優れている感じを意味します。

「軟弱」の意味

「軟弱」には、2つの意味があります。

1つめは、質が柔らかくてゆるみがあることです。

「軟弱野菜」と呼ばれる野菜があります。

「軟弱野菜」とは、収穫後、急速に傷んでしまう野菜のことで、ほうれん草、小松菜、春菊、もやしなどがこれにあたります。

質が固い野菜には、かぼちゃやニンジンなどがあります。

これらは「軟弱野菜」と異なり、質にゆるみがない特徴を持っています。

固くしっかりしていることではなく、柔らかくて締まりがないさまが「軟弱」です。

もう一つの意味は、意志や態度などがしっかりしていないこと、人のいいなりになりやすいことです。

自分の意志をしっかりと持っている人は、人に何を言われても簡単には自分の意志を変えません。

頑固とは違い、必要であれば自分の考えを変えますが、そそのかされて意志を変えることはないです。

「軟弱」はこのようなさまとは対照的で、人に何かをいわれるとすぐに意志や態度を変えてしまうようなさまを指しています。

「軟弱」の使い方

しっかりしていなくて弱いことについて使用をします。

質についても、意志や態度についても使用することができます。

「軟弱」を使った例文

・『軟弱な態度を改めなさい』
・『軟弱な地盤なため、その土地に建物を作ることをあきらめた』
・『軟弱な猫パンチがかわいい』
・『家が軟弱な地層の影響を受ける』

「軟弱」の類語

「弱い」が類語です。

意志が堅くない、ゆるみがある、固くないという意味があります。

「軟弱」の対義語

「強固」が対義語です。

強くしっかりしているという意味があります。

まとめ

どちらの言葉にも「弱」という漢字が使用されており、似ているような意味に感じるかもしれませんが、「貧弱」は乏しいこと、みすぼらしいことで、「軟弱」は弱々しいことで、意味が違います。