この記事では、「進展」と「伸展」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「進展」と「伸展」の違い
「進展」とは、物事が時間の経過とともに進んで、新しい状況・状態になること。
また、物事が進んで前よりも上の段階にあることです。
「進展」には、2つの意味があります。
1つめは、伸びて広がることです。
主に勢力についていいます。
もう一つは、関節の両側の骨がつくる角度が広くなる運動のことです。
どちらの言葉も「しんてん」と読み、「展」という漢字が含まれている点が共通していますが、意味は違います。
「進展」は進むことです。
人間社会で起こる物事は、時間が経つにつれて状況や状態が変わっていきます。
時間に伴って変化をして、新しい状況や状態になることが「進展」です。
「伸展」は伸びて広がることです。
ある地域産業がA県の中だけで行われていました。
それが、B県にも産業を広げることになりました。
地域産業の規模が広がったといえます。
このようなことが「伸展」です。
この例を違う面から見ると「進展」しているところがあります。
たとえば、A県が地域産業を他県に広げたいと考えていたけれど、他県との話し合いがうまくいかず、難航していたとします。
それでも何度か話し合い、時間が経つにつれて状況が変わり、他県との話し合いがまとまりました。
新たな局面を迎えたのです。
そのことは「進展」といえます。
「進展」は新しい局面のことで、「伸展」は勢力や規模が広がることです。
「進展」と「伸展」の使い方の違い
時間が経って新しい状況や状態になることについて「進展」を使用します。
勢力や規模などが伸びて広がることについて「伸展」を使用します。
「進展」と「伸展」の英語表記の違い
「進展」は英語で“progress”や“development”と表現をします。
「伸展」は英語で“extension”と表現をします。
「進展」の意味
「進展」とは、時間が経つにつれて変化をし、物事の状況や状態が新しくなることです。
たとえば、今婚約者がいて、近々結婚したいと考えていたとします。
結婚をするために、双方の両親にあいさつに行くことになりました。
そしかし、花嫁側の両親から結婚を認めてもらえませんでした。
それでも二人は結婚したいと考えています。
そこで、何とか認めてもらおうといろいろ考え、行動をしました。
その結果、彼に娘を預けても大丈夫だと両親が判断をし、結婚を認めてもらえました。
最初は結婚を反対されていた状態ですが、時間の経過に伴い結婚を許された状態になりました。
時間とともに事態が変化をし、新たな局面を迎えています。
このように、新たな状況・状態になることが「進展」です。
時間の経過とともに変化するという意味が含まれています。
また、「進展」は物事が前よりも上の段階にいくという意味も持っています。
たとえば、戦後すぐの日本の医療と現在の医療を比べると、現在の医療の方がずっと進んでいます。
戦後すぐの医療が5くらいのレベルだとしたら、今のレベルは5よりも上の段階だといえます。
時間の経過に伴い、技術的に進んでいます。
「進展」の使い方
時間が経って、新たな局面を迎えることについて使用をします。
新たな局面を迎えて、それがよい方向なのか、悪い方向なのかという意味は含まれていません。
よいことにも悪いことにも使用できます。
「進展」を使った例文
・『目覚ましい進展を遂げた』
・『進展したと知って安心した』
・『今年中には大きく進展させたい』
・『先輩との関係が進展した』
「進展」の類語
「発展」「進歩」「発達」が類語です。
これらの言葉には、技術や文化が前の段階よりも上の段階にいくという意味があります。
「進展」の対義語
「退歩」が対義語です。
技術や能力などが前よりも劣るという意味があります。
「伸展」の意味
「伸展」には、2つの意味があります。
1つめは、伸びて広がることです。
ピザの生地を伸ばすようなことではなく、勢力や規模が広がることを指しています。
ある事業が国内だけで行われていたとします。
その事業が海外にも規模を拡大したとします。
これは、規模が広がっていることであり、「伸展」ということができます。
もう一つの意味は、関節の両側の骨がつくる角度が大きくなるような運動のことです。
立った状態で膝に手を当てて、膝を押すような感じでストレッチをすると、関節の両側の骨がつくる角度が大きくなります。
このような動きが「伸展」です。
運動をするときには、どこが「伸展」するのか意識を向けると、より効果的だといわれています。
「過伸展」とは、通常よりも関節が伸びてしまう状態のことです。
通常は膝を伸ばそうとしても、膝の両側にある骨がまっすぐになるくらいまでしか伸びませんが、「過伸展」はこれよりもさらに伸びた状態です。
歩くときに膝が曲がる側と反対側に伸びます。
「過伸展」を起こすと、関節の痛み、膝の場合は立ったときにバランスを取りにくい、靭帯の損傷などを引き起こすことがあります。
「伸展」の使い方
勢力や規模が広がることについてや、関節の運動のことについて使用をします。
勢力や規模につては、経済にかかわることで使われる機会が多くあります。
「事業が伸展する」のような使われ方です。
関節の運動については、スポーツをする人や健康に関心がある方は、耳にすることがあります。
「伸展」を使った例文
・『伸展にかかわる筋肉を意識する』
・『観光の伸展が期待される』
・『消費量の増加により、事業の伸展を考える』
・『肘を伸展させてください』
「伸展」の類語
「伸長」「拡大」「拡張」が類語です。
「伸長」とは、長さや力が伸びることです。
「拡大」には、面積や空間などが広がることという意味があります。
「拡張」とは、範囲や規模が広がることです。
「伸展」の対義語
「縮小」が対義語です。
縮まって小さくなることです。
まとめ
2つの言葉は読みが同じですが、新しい局面になること、伸びて広がることと意味は違います。
読みが同じだと漢字表記を間違えてしまうことがあるので、注意が必要です。