この記事では、「拡大」と「増大」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「拡大」と「増大」の違い
「拡大」とは、面積、空間、幅、範囲などを大きくすること、また大きくなることです。
「増大」とは、数量や物体の程度が増えて大きくなることです。
2つの言葉にはどちらも、大きくなるという意味が含まれていますが、どのようなものが大きくなるのか意味が異なります。
「拡大」の場合は、大きくなるものが面積、空間、幅、範囲などです。
あるゲームでは、最初は作物を育てるために使用できる土地の面積が限られていますが、ゲームを進めるにつれて、使用できる土地の面積が増えていきます。
たとえば、最初は面積が10だったものが20になるようなものです。
面積が大きくなっており、このことを「拡大」といいます。
「増大」の場合は、大きくなるものが数量や物体の程度です。
たとえば、最初は10くらいの予算をある事につぎ込んでいたとします。
しかし、これでは足りないので50の予算をつぎ込むことにしました。
これは、つぎ込む予算の数や程度が大きくなった、増えたということができ、こういったことを指して「増大」といいます。
「拡大」と「増大」の使い方の違い
面積、空間、幅、範囲などが大きくなることについて、「拡大」使用をします。
数や程度が大きくなることについては使用をしません。
数や程度が大きくなること、増えることについて、「増大」を使用します。
面積や空間などが広がることについては使用しません。
「拡大」と「増大」の英語表記の違い
「拡大」は英語で“magnification”や“expansion”と表現をします。
「増大」は英語で“increase”と表現をします。
「拡大」の意味
「拡大」とは、面積、空間、幅、範囲などが大きくなることです。
パソコンの機能に「拡大」というものがあります。
「拡大」をすると文字が大きくなります。
1つの文字が占めているいる面積・空間が大きくなったということができます。
16世紀ころに始まった大航海時代には、ヨーロッパの国々が海外を侵略して、領土を獲得していきました。
これによって、侵略した側の国は自分たちが使用できる領土が増えていきました。
領土は面積で測ることができます。
面積が増えているので、このことは領土が「拡大」したということができます。
ある一部の人たちだけで流行っていた病気が、他の人たちの間にも広がっていったとします。
最初は狭い範囲だったものが、広い範囲へと変わっていったのです。
これは範囲が広がることなので「拡大」ということができます。
このように、「拡大」とは、面積、空間、幅、範囲などが大きくなることをいいます。
「拡」という漢字には、ひろげるという意味があり、「大」という漢字には、大きくなるという意味があり、漢字が持つ意味からも「拡大」の意味がわかります。
「拡大」の使い方
広げて大きくすることや大きくなることについて使用をします。
大きくなるものは、面積、空間、幅、範囲、規模などです。
程度については使用しない言葉です。
たとえば、雨の降る程度がひどくなったことを「雨の降り方が拡大する」とはいいません。
雨が降っている範囲が広がることなら「雨が降る範囲が拡大する」ということができます。
「拡大」を使った例文
・『新聞の文字をルーペを使って拡大して読む』
・『領土が拡大していく』
・『被害の拡大を食い止める』
・『事業の拡大を目指す』
「拡大」の類語
「伸長」「伸展」「拡張」が類語です。
「伸長」は広げて伸ばすことです。
「伸展」は伸ばし広がることで、主に勢力について使用をします。
「拡張」は範囲や規模などを広げて大きくすることです。
「拡大」の対義語
「縮小」が対義語です。
縮まって小さくなるという意味があります。
「増大」の意味
「増大」とは、数や程度が大きくなること、また増えてて大きくなることです。
転んで膝を打ってしまったとします。
膝を打った直後はさほど痛みを感じなかったのですが、時間が経つにつれて痛みの程度が大きくなってきました。
これは、程度が大きくなっていることなので、痛みが「増大」したということができます。
毎日仕事で忙しい、残業続き、家に帰ったら家事をしなければならない、そのため睡眠時間が短い、このような生活を毎日送っていれば、ストレスがたまることでしょう。
ストレスは面積や空間で測れるものではなく、程度になります。
ストレスの程度が増えていくことは、ストレスが「増大」するということができます。
「増大」の使い方
増えて大きくなることに使用をします。
数や程度について使うことが一般的です。
また、少ししか増えていないことには使用をしません。
たとえば、今手元には飴が1個あります。
他の人から1個もらって2個になりました。
飴の数は増えていますが、増える程度が小さいので「増大」とはいいません。
「増大」はもっと程度が大きなことについて使用をします。
たとえば、これまである事業につぎ込んでいた予算が1億円だったものが、5億円に増えたといった場合は、程度が大きくなっているので「増大」ということができます。
「増」という漢字には、ふえるという意味があります。
「増大」を使った例文
・『インフルエンザの患者が増大した』
・『発汗量が増大をして肌がべたつく』
・『犯罪件数が増大している』
・『体の負担が増大する』
「増大」の類語
「増加」「増殖」「増量」が類語です。
「増加」は物の数量が増えることで、増え方が大きい・小さいを問わず使用することができます。
「増殖」は細胞や固体などの数が増えることです。
「増量」は分量が増えることで、重さや容積など量れるものに使用をします。
「増大」の対義語
「減少」が対義語です。
減って少なくなること、減らして少なくなることという意味があります。
まとめ
それぞれの言葉には大きくなるという意味が含まれていますが、何が大きくなるのかという点で意味が違う言葉です。
「拡大」は面積や空間などについて、「増大」は数や程度についていいます。