この記事では、「一致」と「合致」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「一致」と「合致」の違い
「一致」と「合致」の違いは、「一致」は「具体的なモノの形態・特徴などが同じであること」を意味しますが、「合致」は「具体的なモノの形・特徴よりも、抽象的な意味・概念などがぴったり合うこと」の意味合いが強いという違いになります。
「一致」は「二つ以上のものに違いがなくて同じである」のニュアンスですが、「合致」は「あるもの(人物)とその目的(用途)が同じである」のニュアンスがあります。
例えば、「犯人の靴と足跡が一致しました」は「合致しました」に言い換えられないわけではないですが、一般的には「一致しました」の表現のほうが自然な語感があるといった違いがあります。
反対に、「彼女とビジョンが合致しました」という文章であれば、「一致」でも「合致」でもどちらの言葉を用いても違和感のない文章のニュアンスになります。
「一致」と「合致」の使い方の違い
「一致」と「合致」は、どちらも「二つ以上のものに違いがなくてぴったり合うこと」の意味で使われます。
基本的に「一致」と「合致」は「二つ以上のもの・意見などが同じであること」を示す同じ使い方になるのですが、「合致」のほうが「一致」よりも「抽象的な物事・意見(主張)・意味が同じでぴったり合う」の意味合いで使われやすい使い方の違いはあります。
「一致」は「合致」と比べると、「具体的なモノ・事物が同じ」と「抽象的な概念・意味が合う」のどちらの場合でも自然に使用することができる用法の違いを持っています。
「~に合致する」の言い回しでは、慣習的に「一致」よりも「合致」の使用頻度が高くなっています。
さらに「満場一致(まんじょういっち)」「一致団結(いっちだんけつ)」などの四字熟語の慣用句では、この「一致」を「合致」に言い換える使い方はできません。
「一致」と「合致」の英語表記の違い
「一致」を、英語で表記すると以下になります。
“agreement”……あるものと他のものが同じであること。
他者と意見・主張が同じで合意すること。
一致。
“agree with~”……~に合意(同意)する。
~と一致する。
“harmony”……あるものと別のものがバランスよく調和すること。
調和。
一致。
“unanimous”……みんなの意志や行動が一致していること。
一致協力するさま。
一致。
「合致」を、英語で表現すると以下になります。
“coincide with~”……~と違いがなくてピタリと合う。
~と合致(一致)する。
“match”……二つ以上の物事がぴったりとバランスよく合うこと。
目的や意図などが合致すること。
合致。
“meet~”……目的・条件などに合う。
~と合致する。
「一致」の意味
「一致(いっち)」とは、「二つ以上の物事・意見・概念などがぴったり同じで違いがないこと」を意味しています。
「一致」というのは、「二つ以上のモノの形状・特徴などにまったく違いがなくて一つになること」を示している言葉です。
「一致」の表現は、「具体的なモノの形・性質などが同じであること」や「抽象的な物事・観念・意見などに違いが認められず同じであること」の両方のニュアンスを持っています。
「一致」の使い方
「一致」は、「あるものと他のものが物理的にまったく同じで一つであること」の意味で使われます。
「一致」という言葉は、「二つ以上の複数のモノや意見などが、ピタリと同じで違いがない」といった意味合いで使用することができるのです。
また「一致」の表現は、「~と一致する・~と一致しない・~が一致する・~が一致しない・満場一致・一致団結」などの用法で使える使い方があります。
「一致」を使った例文
・『犯人の指紋と一致した証拠を突きつけられたため、彼は言い逃れできなくなりました。』
・『私が無くした財布の色やデザインと一致する財布が公園で見つかりました。』
・『彼女といくら話し合っても人生に対する価値観が一致することはなく、別れることを決めました。』
・『満場一致でこの法案が可決されましたが、私自身はこの法案に全面的に賛成なわけではありません。』
・『チームのみんなで一致団結してプロジェクトに取り組んだ結果、予想以上の高い評価を受けることができました。』
「一致」の類語
「一致」の類語には、以下の言葉があります。
・『符号(ふごう)』……二つ以上の事柄が、ズレることなく対応(照合)すること。
・『合意(ごうい)』……意見・意志などが同じであること。二人以上が賛同・賛成すること。
・『合致(がっち)』『合う(あう)』……二つ以上のモノがピタリと合うこと。ある物・人とその目的・用途が一致(マッチ)すること。
・『吻合(ふんごう)』……上下の唇がぴったり合うように、二つ以上の物事(二人以上の人)がぴったり合うこと。
「一致」の対義語
「一致」の対義語には、以下の表現があります。
・『不一致(ふいっち)』……二つ以上の物事が同じではなくて一致しないさま。
・『対立(たいりつ)』……二人以上の意見が食い違って争うさま。
二つ以上の物事(二人以上の人)が両立せずに敵対すること。
「合致」の意味
「合致(がっち)」とは、「二つ以上の物事・意見・観念などに、ズレがなくてぴったり合うこと」を意味しています。
「合致」の言葉は、「ある人の意見・行動などが、ある目的(理念・価値観など)に合っていること」といった意味合いも持っています。
「合致」には、「抽象的な事柄・意見・観念(理念)などに違いがなくて一致する」というニュアンスがあるのです。
「合致」の使い方
「合致」の言葉は、「二つ以上の事柄や二人以上の主張などがピタリ合ってズレがないこと」の意味で使用されます。
特に「合致」という表現は、「抽象的な物事・目的・理念などが一致していて合うこと」を指して使う使い方になります。
例えば、「彼の政治的信念は実際の行動と合致しています」などの文章で使えます。
「合致」を使った例文
・『基本的な企業理念が合致しない相手と、ビジネスパートナーになることはできません。』
・『地域社会を応援する目的に合致するようなアイデアを募集しています。』
・『二人の証言が合致しないということは、どちらかが嘘をついているのです。』
・『このシンポジウムの趣旨に合致しない発言はお控えください。』
・『仕事に対する価値観が合致しなくなってから、親友との関係がぎくしゃくしています。』
「合致」の類語
「合致」の類語には、以下の言葉があります。
・『賛成(さんせい)』……相手の意見・価値観などに同意(支持)すること。
・『一致(いっち)』……二つ以上の物事・理念などに違いがなくて同じであるさま。物理的な特徴・かたちなどにズレがなく一つであるさま。
「合致」の対義語
「合致」の対義語には、以下の表現があります。
・『相違(そうい)』……二つ以上の物事が食い違っていること。お互いに違っている点があるさま。
・『反対(はんたい)』……相手の意見・価値観などに賛同せず対立すること。
まとめ
「一致」と「合致」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「一致」と「合致」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく知りたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。