「ジャーナリズム」と「報道」の違いとは?分かりやすく解釈

「ジャーナリズム」と「報道」の違い専門用語・業界用語

「ジャーナリズム」「報道」は似たような意味で使われる言葉ですが、どのような違いで区別されているのでしょうか。

今回は、「ジャーナリズム」「報道」の違いを解説します。

「ジャーナリズム」とは?

「ジャーナリズム」とは、「思想やイデオロギーを背景に事実を伝える行為」を意味する言葉です。


「ジャーナリズム」の使い方

社会正義や使命感など特定の思惑に基づいて行われる事実調査や情報の伝達を「ジャーナリズム」といいます。

取り扱う出来事は実際に起きたことなのでそこに手を加えることはありませんが、発生した事実は同じであっても取り上げ方や伝える人によって事実の持つ意味やニュアンスは異なります。

例えば戦争に関する事実は敵対している国どちらに立つかによって一つの事実が全く逆の意味合いになります。

ジャーナリズムもそのように事実に対して伝えるものが持つ使命感や倫理観に基づく価値判断が付与されて伝達されます。

大前提として公平中立が叫ばれるものの、そもそものスタンスとしてどの位置を取るかが異なる以上本当の意味でジャーナリズムが中立なことはありません。

どのようなものの見方で事実をとらえるのか、どのような価値観で事実を判断するのかそれぞれ同じ事実を取り扱っていても全く違う意味合いで伝えられるのが「ジャーナリズム」の特徴です。

一般的には正義感や倫理観といった多くの人が受け入れる価値観が基準になりますが、宗教的価値観など共有しない人にとっては明らかに偏った考えに基づいて行われるジャーナリズムもあります。


「報道」とは?

「報道」とは、「発生した事実をそのまま伝える情報伝播活動」を意味する言葉です。

「報道」の使い方

主に社会的な関心事を伝える行動を指す言葉で、事実に手を加えることなくありのままを知らせる行動を指します。

巨大するものや伝えるものの価値観や意見を挟むことはなく、どのような事実であっても客観的な立場で取り扱われるのが特徴です。

「ジャーナリズム」と「報道」の違い

「ジャーナリズム」「報道」の違いは「イデオロギ」です。

行動に影響を与えるものとなる考え方のことを「イデオロギー」といいます「ジャーナリズム」にはイデオロギーが含まれますが「報道」には含まれません。

つまり「ジャーナリズム」は伝える内容を聞いた人に対し一定の影響を与えることを前提としているのに対し、「報道」は事実の提供のみでそれをどのように判断するかは視聴者や読者に委ねられています。

伝えることの影響力を利用しているのが「ジャーナリズム」、伝えるのみで価値観や意見を挟まないのが「報道」という違いで区別されています。

「ジャーナリズム」の例文

・『圧力に屈するのはジャーナリズムの敗北だ』
・『ジャーナリズムは時として武力よりも強い力を持つ』

「報道」の例文

・『期間中の入場者は20万人だったと報道された』
・『報道された事実だけでは判断できない』

まとめ

「ジャーナリズム」「報道」は似たような意味で使われる言葉ですが、本来は全く違う別の言葉です。

ニュースでは頻繁に使われる表現なのでそれぞれの意味と違いを覚えておきましょう。