短い作品を集めた作品集として「アンソロジー」と「オムニバス」がありますがどんな違いがあるのでしょうか。
今回は、「アンソロジー」と「オムニバス」の違いを解説します。
「アンソロジー」とは?
「アンソロジー」とは、「共通するテーマについて書かれた作品を集めた作品集」を意味する言葉です。
「アンソロジー」の使い方
として出版される作品に掲載されているのは全て共通する特定のテーマに基づいて作られた作品です。
近年は「アンソロジー」というと人気作品について書かれた同人作品を集めたものという意味合いが強いですが、元々は共有するテーマについて書かれた作品表を意味するものでありオリジナル作品を集めるのが本来の「アンソロジー」です。
どんなテーマを設定するかは編纂者が決定し掲載する作品も編纂者によって選ばれるのが一般的です。
原稿を依頼して書いてもらう場合もあれば募集を募って先行したり過去の作品から共通するテーマをピックアップしてまとめたりなど色々な方法で選ばれます。
「アンソロジー」の歴史は古く古代ギリシャで編纂された詩集も「アンソロジー」の一種です。
日本では異なる作者が詠んだ和歌を集めた歌集や俳句を集めた句集などが「アンソロジー」に当たります。
文学作品だけでなく映像作品や画集などでも見られる形式で、学校で作られる作文を集めた文集なども広義の「アンソロジー」に含まれます。
「オムニバス」とは?
「オムニバス」とは、「独立した複数の作品から成る一つの作品」を意味する言葉です。
「オムニバス」の使い方
「オムニバス」は短編や小作品を集めて作られる作品を指しますがそれぞれの作品は個別に独立し完結したものです。
個別の作品を見ても一つの作品として成り立ちますがそれら全てをまとめると長編のひとつの作品として別の魅力が生まれるような形式のものを「オムニバス」といいます。
三部作や章立てなどそれぞれのエピソードごとに独立しているものや〇〇編というように異なる主人公の活躍を独立した作品として描くような型式が「オムニバス」です。
「オムニバス」は個別の作品を見ても楽しめませんが複数あるいはすべての作品を見ることで新たな価値観や魅力が生まれます。
「アンソロジー」と「オムニバス」の違い
共通した点はあるがそれぞれの作品同士につながりのない短編集か「アンソロジー」、過去作品は独立しているが全体をまとめると一つの作品になるのが「オムニバス」という違いで区別されます。
「アンソロジー」は制作段階て作品集になることを想定していない作品も含まれるのに対し、「オムニバス」は複数の作品をまとめて1作品とすることを前提に製作されるという違いもあります。
過去の作品をまとめて「アンソロジー」として発表することはありますが、後付で独立した作品が「オムニバス」の一作品に組み込まれることは通常ありません。
まとめ
「アンソロジー」と「オムニバス」はどちらも短編作品を集めた短編集ですが目的や選考の基準が全く異なります。
読む楽しみにも違いがあるので手に取る前にどのような形式なのか確かめておきましょう。