「周知」と「認知」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「周知」と「認知」の違い生活・教育

この記事では、「周知」「認知」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。

「周知」と「認知」の違い

「周知(しゅうち)」とは、「ある情報・知見を、広く世の中に知れ渡らせること」を意味しています。

「周知」と比べて「認知(にんち)」という言葉には「広い範囲に知らせる・伝える」の意味合いはなく、「ある物事を知覚や認識を通じてはっきりと認識すること、認めること」を意味している違いがあります。

法律用語の「認知」「婚姻していない男女間の子供について、父(母)が自分の子であると認めること」の意味合いを持ちますが、「周知」はその意味を持っていない点も異なっています。


「周知」と「認知」の使い方の違い

「周知」「認知」の使い方の違いは、「周知」「ある情報を広い範囲に知れ渡らせること、知れ渡ること」の意味で使いますが、「認知」はその意味では使えないということです。

例えば、「来週の休日を周知しました」の文章を「来週の休日を認知しました」に言い換えると、「知れ渡らせる」ではなく「認識して理解する」の異なった意味になってしまいます。

「認知」の言葉は「対象の存在を知覚や知性を介して認識する」「自分の子供であると認める」といった意味での用法になるので、「周知」の使い方とは異なっています。


「周知」と「認知」の英語表記の違い

「周知」の英語表記は以下になります。

“announce to~”……~に知らせる。

~に教えて伝える。

~に周知する。

“publicize to~”……~に広報する。

(大々的に・公にして)~に報告する。

~に周知する。

“make it known”“make it public”……「周知する(知らせる)」の口語的な英語表現です。

「認知」の英語を使用した表記は以下になります。

“cognition”……物事の存在・性質などを各種の知的能力を介して認識すること。

認知。

“perception”……主に語感の感覚機能を使って対象を知覚すること。

知覚的な認識・認知。

“recognize~”……~を見てから認識する。

~の存在を認知する。

「周知」の意味

「周知(しゅうち)」とは、「ある物事・人物などに関する情報を、世間(人々)の広い範囲に知れ渡らせること」を意味しています。

「周知」は、「(主体となって)知れ渡らせること」「(結果として)知れ渡ること・知れ渡っているさま」の両方の意味で解釈可能です。

「周知」「周」には「あまねく」の読み方・意味合いがあり、「知」と合わせ「広範に(世の中に広く)知れ渡らせること」の意味になります。

「周知」の使い方

「周知」「ある物事や情報(知見)について、広い範囲に教えて知らせる」の意味で使われています。

「周知」の表現は、「周知する・周知した・周知の~・周知徹底(周知徹底する)・周知の事実・周知不足・ご周知ください・ご周知願います」などの用法で使うという使い方になります。

例えば、「日頃から公務員としての倫理規程を周知徹底しています」などの文章で使うことができます。

「周知」を使った例文

・『彼が横領背任の罪で逮捕されて懲戒免職処分になったことは、同僚の間では周知の事実でした。』

・『社内の就業規則の一部の規定が来月から変更されるので、変更内容について周知してください。』

・『新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令について周知徹底されました。』

・『臨時休業の周知不足によって、休みの日なのに出勤してしまった社員がいたようです。』

・『業務効率改善に役立つノウハウの周知徹底を図っています。』

「周知」の類語

「周知」の類語には、以下の言葉があります。

・『知らせる(しらせる)』『告知(こくち)』……ある情報について、他者に分かるように伝えること。ある事柄の内容を告げて知らせること。

・『伝える(つたえる)』『伝達(でんたつ)』……何らかの情報・知見について、その内容を他者に知らせること。

・『アナウンス』……ある事柄の情報・知見などを、ある程度広い範囲に知らせること。情報を拡散させる広報をすること。

「周知」の対義語

「周知」の対義語には、以下の表現があります。

・『内密(ないみつ)』……ある事柄を広く知らせずに内々で秘密にしていること。

・『隠蔽(いんぺい)』……ある情報を人に知らせることなく、気づかれないように隠して無かったことにしようとすること。

「認知」の意味

「認知(にんち)」とは、「ある対象の存在・特徴(性質)などを、明らかに認めたり理解したりすること」を意味しています。

心理学用語としての「認知」は、「対象を感覚器官で知覚した上で、その対象が何であるのか(どのような意味を持つのか)を、推論・判断する高次の知的機能(脳機能)」といった意味を持っています。

法律用語としての「認知」の意味は、「自分の子であると認めて法的な親子関係と扶養義務を成立させること」になります。

「認知」の使い方

「認知」「彼がその場所にいることは認知していました」のように、「対象の存在・性質などを認めること」「ある内容を明確に理解すること」の意味で使います。

「認知」には「物事の存在・意味を解釈することができる、知覚・推論・判断などの知的能力(心理機能)の総称」といった、心理学の専門用語としての使い方もあります。

さらに「子供を認知する・認知しない」のように、「自分の子であると認めて法的な養育義務を成立させる」といった法律用語としても使用可能です。

「認知」を使った例文

・『年齢が高くなるにつれ高次脳機能の低下によって、認知機能も衰えやすくなるのです。』

・『認知心理学では、物事の意味・役割まで判断する認知は、単純な知覚・認識よりも高次の脳機能として定義されています。』

・『交通事故を起こす直前に、前方の信号が黄色であることを認知していました。』

・『二人の関係がどこまで進んでいるのか認知していなかったので、付き合っていると知ってショックを受けました。』

・『我が子を認知してくれない元彼の無責任な態度が許せず、弁護士に相談することにしました。』

「認知」の類語

「認知」の類語には、以下のような表現があります。

・『認識(にんしき)』……ある対象の存在・特徴を知って認めること。

感覚や知能を介して存在を認めること。

ある物事についての理解。

・『承認(しょうにん)』……ある対象の存在・価値を評価して認めること。

ある物事の正当性や資格などを認めること。

・『知覚(ちかく)』……視覚・聴覚・嗅覚などの語感(感覚機能)を使って、対象の存在・性質を知ること。

「認知」の対義語

「認知」の対義語には、以下のような言葉があります。

・『否認(ひにん)』……ある対象の存在や価値を認めないこと。

法的な婚姻関係にない相手(生物学上の父・母)が、自分の子であるとは認めないこと。

まとめ

「周知」「認知」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「周知」「認知」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容をチェックしてみてください。