「ヨウリン」と「過リン酸石灰」の違いとは?分かりやすく解釈

「ヨウリン」と「過リン酸石灰」の違い専門用語・業界用語

この記事では、肥料である「ヨウリン」「過リン酸石灰」について紹介します。

ヨウリンとは?

ヨウリンは、天然の原料から作られている肥料です。

化学的に合成された化学肥料とは異なり、有機農産物適合肥料に該当します。

ヨウリンは熔成燐肥(ようせいりんぴ)を略した言葉です。

「燐」という漢字が使われていることからも分かるように、リン酸が多く含まれています。

リン酸は肥料の三要素の一つとされ、植物の成育には欠かせない成分です。

リン酸には、植物の根から分泌される有機酸に溶ける「く溶性」という性質があります。

水溶性ではないので水に溶けず、流れていってしまうことがありません。

土の中に留まり、無駄なく根に吸収されます。

ヨウリンにはリン酸や苦土、石灰、ケイ酸などがバランスよく豊富に含まれており、1つで4つの役割を果たしてくれます。

ヨウリンの原料は、天然のリン鉱石と蛇紋岩です。

リン鉱石には、リン酸と石灰が含まれています。

蛇紋岩にはケイ酸と苦土が含まれており、苦土にはリン酸の吸収を良くするマグネシウムも含まれます。

これらの原料を高温で溶融し、急速冷却してから粉砕して肥料とします。

ヨウリンは野菜や果物の栽培に適した肥料で、お米作りや麦・大豆・飼料用作物作りなどにも使われています。


過リン酸石灰とは?

過リン酸石灰とはリン酸肥料の1つで、水に溶ける水溶性の性質があります。

すぐに溶けて根が吸収できる形になるため速効性があり、作物の根張りを良くする効果があります。

果樹や野菜の実つきを良くしたり、色や艶、味などを良くする効果も期待できます。

過リン酸石灰は、世界で最初に使われるようになった化学肥料といわれています。

日本では、明治時代に藍の栽培に使われたのが始まりです。

ただし、土壌中にアルミニウムや鉄分があるとリン酸は吸着されてしまうので、そうなると植物の根から吸収されにくくなってしまいます。

そのため過リン酸石灰を使用する時には、土に直接触れないように堆肥と混ぜて畝の下に施すなど吸収されやすくする工夫が必要です。


ヨウリンと過リン酸石灰の違い

ヨウリンは天然の原料から作られている肥料で、過リン酸石灰は化学肥料というところに違いがあります。

それからヨウリンは水に溶けにくく、植物の根が分泌する有機酸にゆっくりと溶け出すので緩行性の肥料になります。

すぐに効果は出ませんが、持続性があります。

それに対して過リン酸石灰は、速効性のある肥料です。

すぐに効果を発揮します。

元肥にする場合、緩行性のヨウリンと速効性のある過リン酸石灰を一緒に使うこともあります。

また、ヨウリンにはアルカリ分が含まれていて、土壌のpH調整にも使われます。

過リン酸石灰はほぼ中性です。

まとめ

ヨウリンはすぐに効果はないけれど持続性のある肥料で、過リン酸石灰は速効性がある肥料です。

また、ヨウリンは天然の原料で作られていますが、過リン酸石灰は化学的に合成された肥料になります。