この記事では、「内側」と「内部」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「内側」と「内部」の違い
「内側」と「内部」は「ある物や境界の内(中)・内面」を示す同じ意味の同義語であるため、この二つの言葉に意味そのものの違いはありません。
しかし、「内側」には「一般的な会話などにおける話し言葉」のニュアンスがあり、「内部」という表現には「機械の構造・専門的な説明文句などにおける書き言葉」のニュアンスがある違いを持っています。
「内側」よりも「内部」のほうが、「やや専門的・機械構造的で書き言葉に適した語感・ニュアンス」を持っている違いを指摘することが可能です。
「内側」と「内部」の使い方の違い
「内側(うちがわ)」と「内部(ないぶ)」の違いは、「内側」のほうが「内部」よりも「話し言葉(口語)・一般的なやり取り」で使われやすいことにあります。
反対に、「内部」という言い方は「内側」よりも「書き言葉(文語)・専門的な記述」で使われやすい違いを持っています。
例えば、「この機械の内部の構造は~」という文章のほうが「この機械の内側の構造は~」の文章よりも、「専門的・メカニカル・文語的な印象」を与える使い方の違いを挙げられます。
「内側」と「内部」の英語表記の違い
英語では、「内側」と「内部」は基本的に同じ“inside”“inner”で表すことができます。
「内側」の英語による表現は以下になります。
“inward”……内側に向かって。
内(中)の方向へ。
内側。
“inside”……ある物事・構造物・精神の内部・内(中)。
内側。
“inner”……ある物事や心の内面。
ある境界の内側。
内側。
「内部」の英語を使った表記は以下になります。
“interior”……ある建物・構造の内(中)にあるもの。
インテリア。
内部。
“inside”……あるモノの内側。
心理的構造の内(中)。
内部。
“inner”……あるモノの内(中)・心の内面。
衣服におけるインナー。
内部。
「内側」の意味
「内側(うちがわ)」とは、「ある事物の内(中)のほう」や「ある境界から内(中)のほう」を意味しています。
「内側」という言葉は、「ある一定の範囲において、中心側(手前側・自分側)に寄ったほう」や「ある集団(グループ)・事柄と関わりがあるほう。
内輪・身内」といった意味合いも持っています。
「内側」の使い方
「内側」という表現は、「ある物事・区切り・モノ(事物)の内のほう」や「ある範囲で中心側・自分側に寄ったほう」の意味で使います。
例えば、「壁の内側に空洞ができているようでした」や「内側にあるワイングラスを取ってください」といった文章で使用可能です。
また「内側の人間から見れば理由が分かるのです」のように、「ある事件・事柄と関わりのある側」の意味でも使われます。
「内側」を使った例文
・『建物の内側にはいくつかの部屋があり、それぞれの部屋には鍵を掛けることができます。』
・『洞窟の内側にどんな生物が棲息しているのかを調査してみたいと考えています。』
・『内側に置いてある茶碗は、江戸時代に作られたと伝えられている価値ある骨董品です。』
・『スマホの内側がどのような仕組みで動作しているのか、ユーザーには全くわかりません。』
・『彼はあの組織の内側にいる人間ですから、組織が不利になる証言はしてくれないでしょう。』
「内側」の類語
「内側」の類語には、以下の言葉があります。
・『内部(ないぶ)』……ある物事あるいは仕切り(境界)の内のほう。
メカニカルな構造の内側、中にあるもの。
・『手前(てまえ)』……自分のすぐ目の前や自分から見て近いほう。
目標(目当て)にしている対象物の前。
・『内輪(うちわ)』……部外者を含めない親しいものの集まり・身内。
集団の外の人には分からない内部事情。
「内側」の対義語
「内側」の対義語には、以下の言葉があります。
・『外側(そとがわ)』……ある事物の外・周縁のほう。
ある境界(範囲)よりも外のほう。
ある集団や事柄の外、部外者。
「内部」の意味
「内部(ないぶ)」とは、「物理的なモノ(事物)の内側の部分・形あるモノの中身」や「心理構造の内側」を意味しています。
「内部」という言葉は、「ある組織・会社・団体(集団)に属している人や範囲」といった意味合いも備えています。
「内部」は「専門的あるいは機械的(メカニカル)なニュアンス」を持っている言葉で、説明文などの書き言葉で使われやすいのです。
「内部」の使い方
「内部」の表現は、「形のある構造物(モノ)の内側の部分および中身」や「心理構造の内側・内面」を意味して使われます。
例えば、「スマートフォンの内部は、複雑な半導体の電子基板や個別の部品が適切に配置されています」や「私の心の内部は人に明かしたことがありません」といった文章で使用可能です。
また「内部の人間がその企みに参加しているようです」のように、「ある会社・組織に所属している範囲内およびその範囲にいる内輪の人たち」の意味合いで使われます。
「内部」を使った例文
・『自動車のエンジン内部では、ガソリンが激しく燃えてピストンを動かしています。』
・『その時間帯に、密室の内部で何が行われていたのかは今のところ不明です。』
・『彼の内部に秘められた彼女に対する情熱は、非常に強くて嫉妬深いものでした。』
・『内部の犯行であることは分かってきているのですが、具体的に実行犯が誰なのかは特定できていません。』
・『会社の内部にいる誰かが、機密情報を外部に持ち出して漏洩したと推測されています。』
「内部」の類語
「内部」の類語には、以下の言葉があります。
・『内側(うちがわ)』……ある物事・事物の内(中)のほう。
心の内や内面。
ある物事や集団と関係がある側。
・『内面(ないめん)』……外からは容易に確認することができない心の中・人格・本当の人柄(気持ち)。
内(中)にあるもの。
・『身内(みうち)』……他人・部外者ではない一定以上の強い関係がある相手。
家族・親族・親友など非常に深い関わりがある相手や集まり。
「内部」の対義語
「内部」の対義語は以下になります。
・『外部(がいぶ)』……事物(モノ)の構造において、内側ではなく外側に出ている部分。
身内や内輪ではない部外者(ある程度深い関わりがない人)。
まとめ
「内側」と「内部」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「内側」と「内部」の意味・使い方・英語表記の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事の内容を確認してみてください。