「起こす」と「興す」の違いとは?分かりやすく解釈

「起こす」と「興す」の違い生活・教育

同じよみで意味が異なる言葉として「起こす」「興す」があります。

このふたつの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。

今回は、「起こす」「興す」の違いについて解説します。

「起こす」とは?

「起こす」とは、「地に伏せているものを起立状態にすること」を意味する言葉です。


「起こす」の使い方

座っていたり倒れていたり傾いていたりなど「立っていない状態のものを立たせること」「起こす」といいます。

他人の手によって立たせる行為を指す言葉であり自らの力で立ち上がるときは「起きる」を使います。

一般的には「自力では立ち上がれないもの」「そのまま放置する土地に伏せた状態が継続されるもの」に対して使う表現です。

「力を込めて強引に立った状態にすること」を意味しますが「何らかの事情によって自力では立ち上がれない状態にあるものの原因を取り除き自力で立ち上がれる状態にすること」「起こす」と表現します。

物理的な位置の変化を指す意味の他にもう一つ「寝ているものを覚醒状態にすること」という意味もあります。

「睡眠状態にあるものに声をかけたり体を揺さぶったりして覚醒状態に導き目覚めさせる行為」「起こす」です。


「興す」とは?

「興す」とは、「物事を勢いづかせること」を意味する言葉です。

「興す」の使い方

一般的に「興す」「すでに存在するものに手を加えて盛り上げること」という意味で使われます。

存在はしていたが目立たなかった、衰えていたものに対して加勢し人気を高めたり勢力を強めたりする行為を指す言葉が「興す」です。

傾きかけた企業を再建したり人口が少なくなった村を活気づかせたりといった「活性化」のニュアンスを含む言葉です。

もともと潜在的に備えていたポテンシャルを十分に引き出して好ましい結果を引き出す様子を表しており本来は1を10にするような「既存のものをより良い状態にする」という意味を持ちますが、近年は「新しくはじめる」「動き出す」という既存のものを利用しないスタートの意味でも用いられています。

「起こす」と「興す」の違い

「起こす」は物理的な変化を促す動作を表すのに対し「興す」は加勢し盛り上げるという意味を持ちます。

「起こす」には物理的な変化の意味以外にも「覚醒状態にする」という意味があります。

さらに「目覚める」という意味から転じて転じて「なにもないところに生み出す」という意味でも意味でも使われており「興す」の意味と一部共通している使い方です。

一般的には物理的な動作を示すのが「起こす」、勢いの変化を表すのが「興す」と区別されますがその他にも0を1にするのが「起こす」、1を10にするのが「興す」という違いでも使い分けられます。

「起こす」の例文

・『風で倒れた看板を起こす』
・『倒れている人を助けて起こす』

「興す」の例文

・『新しく国を興す』
・『剣道の新流派を興す』

まとめ

「起こす」「興す」は共通する意味があるため混同しがちですが本来は明確に意味が異なる別の言葉です。

それぞれの言葉が持つ意味を正しく理解して使い分けてください。