この記事では、「確信犯」と「愉快犯」の違いを分かりやすく説明していきます。
「確信犯」とは?
「かくしんはん」と読みます。
もともとは法律用語で、ドイツの刑法学者グスタフ・ラートブルフが提唱しました。
ドイツ語では、“Uberzeugungsverbrechen”(確信による犯罪)といい、自らの信念に基づいて行われる犯罪行為や犯罪行為を行う人のことになります。
政治的、思想的、宗教的等の理念に基づき、正しいと信じてなされる犯罪行為で、義賊やテロリズムなどです。
確信犯を行う人は、「確信犯罪者」や「確信犯罪人」とも呼ばれます。
もともとはそのような意味だったのですが、現在では違う意味で使われることが多くなっています。
「悪いと分かっていながらなされる行為、犯罪又はそれを行う人」という意味で使われることが増えています。
文化庁が発表した2015年度の「国語に関する世論調査」によると、69. 4%の人がこちらの意味だと答え、本来の「信念に基づいて行う犯罪行為」という意味だと答えた人は17%でした。
「確信犯」は、法律用語として、政治や宗教などの信念に基づく犯罪行為を指している言葉でした。
しかし、だんだんそのような犯罪行為のことは、「テロ」という言葉で表すことが多くなり、今では「確信犯」と呼ぶことは少なくなりました。
「確信犯」の使い方
本来の意味で使う場合には、テロリストなどを指して、「彼らは確信犯なので、自分の罪を犯罪だとは思っていない」などと、使います。
現在よく使われている意味で使う場合には、「彼の遅刻は確信犯だね」「あなたは赤信号に気が付いていたのに、直進したんだ。
確信犯だよ」などと、使います。
もともとは誤用でしたが、7割近くの人がこちらの意味で使っており、これからも増えていく流れになっているので、会話として成り立つことがほとんどになります。
「愉快犯」とは?
「ゆかいはん」と読み、人や社会を恐怖におとしいれて、慌てる様子を観察する、又は想像し、喜ぶ行為のことです。
行った行為によって、犯罪になるのか、そうではないのかが決まります。
代表的な事件に、「グリコ・森永事件」や、「黒子のバスケ脅迫事件」などがあります。
また、インターネットの掲示板などに殺人予告や爆破予告などをする行為も「愉快犯」だといえます。
「愉快犯」の使い方
人を脅し、慌てる姿や恐怖を抱いている姿、醜態をさらす姿などを見たり、想像して楽しんでいる人に対し、使います。
「確信犯」と「愉快犯」の違い
「確信犯」は、信念に基づいて行う犯罪行為のことで、「愉快犯」は、世間を騒がせるようなことを行い、慌てるさまや、恐怖を感じているさまを観察し、快感を得ている犯罪のことです。
また、「確信犯」は現在では、「悪いことだと認識しつつ行う行為」という意味でも使われています。
「確信犯」の例文
・『まだ幼さの残るテロリストが自爆しようとすることを止めることはなかなか出来ない。なぜなら確信犯だからだ』
・『確信犯を牢屋に入れても、改心させることは難しい』
「愉快犯」の例文
・『自分のサイトに嫌がらせの書き込みを繰り返す愉快犯がいるので、IPアドレスを知りたい』
・『殺人事件が行われているような動画をライブ配信して、世間を騒がせる愉快犯がいました』
まとめ
「確信犯」と「愉快犯」の違いと、説明をしてきました。
どちらの言葉も、犯罪行為だけではなく、小さな悪事に対して使うこともあります。