自分以外の存在をあらわす言葉として「相手」と「他者」がありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「相手」と「他者」の違いについて解説します。
「相手」とは?
「相手」とは、「一緒になっている物事をする一方の人や対象の人」を意味する言葉です。
「相手」の使い方
「相手」という言葉動詞の「会う」と名詞「手」のが組み合わせで作られている言葉です。
「会う」が表しているのは「異なる物同士がお互いに顔を合わせて向き合うこと」です。
「手」は「担い手」「語り手」など「仕事や作業をする担当者」という意味になります。
直接的な意味だと「顔を向き合わせる作業をする人」という意味になりますがもう少しわかりやすくすると「対面する役割を担う人」つまり「自分と向き合っている人」というのが「相手」が表す本来の意味合いです。
自分と向き合うというのは通常一対一で顔を合わせることなので「組になって物事をする人」「何かをする対象の人」など「二人組のもう一方」もしくは「一対一で物事をなす対象」という意味で使われる言葉です。
ペアを組むうちの一方やコンビの片割れなど「自分と対になるもう一人の人」という意味で使われる言葉ですが現在では「動作の対象になる人」という意味でも広く使われています。
「対戦相手」「仕事相手」という場合は実力や規模などに非対称性がありますが行う動作の対象になっている事を意味しているので必ずしも対になる存在でなくても「相手」という言葉が適切な表現です。
「他者」とは?
「他者」とは、「自分以外の人」を意味する言葉です。
「他者」の使い方
自意識を中心に世界を認識するとこの世界には自意識を持つ「自分」と自分以外の存在に大別されます。
「自意識のある自分以外の人」を指す言葉が「他者」です。
厳密に言うと「自己同一性の範囲外にある者」が「他者」であり一般的には「自分以外の人」を表しますが所属している組織や団体など自分を広くとらえた場合は自社以外の会社や所属団体以外団体が「他者」に当たります。
「相手」と「他者」の違い
「相手」と「他者」の違いは「自分」です。
「相手」というのは二人組のうち片方、もしくは特定の存在が向き合って対象にしている存在を意味します。
自分と向き合っている対象だけでなく他人が誰かと向き合い対象にしている場合にも「相手」という表現を用います。
「他者」というのは自分を基準にしたときのそれ以外の者を表す言葉です。
自分以外は全て他者であり誰かと誰かが向きあっていた場合、自分にとってはどちらも「他者」に当たります。
二人称を用いるのが「相手」、二人称や三人称など一人称以外のすべてが「他者」という違いで区別されます。
「相手」の例文
・『相手にとって不足はない』
・『子どもを相手にするととてもくたびれる』
「他者」の例文
・『自分がそうだからといって他者もそうだと決め付けるのは間違いだ』
・『他者にまったく興味がない』
まとめ
「相手」と「他者」はまったく意味の違う言葉です。
対象としているものが自分にとってどのような関係性であるかに注目してふさわしい表現を選びましょう。