「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の違いとは?分かりやすく解釈

「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の違い生活・教育

よく似た意味を持つ言葉として「自明の理」「火を見るよりも明らか」があります。

ただし、使い方は微妙に違っており、2つの言葉についてどのような違いがあるのかを紹介します。

「自明の理」とは?

「自明の理」とは、説明するまでもなく明らかな道理のことをいいます。

根拠を挙げて説明したり、解説したりしなくても当然のこととして導きだされたことをいいます。

「自明」という言葉には、説明や解説がなくても当たり前に分かっていることという意味があります。

それから「理」には、物事の道理や原理、もっともなことといった意味があります。

「自明」「理」の二つの言葉が組み合わさってできた熟語が「自明の理」です。

「自明の理」には道理という意味が含まれているので、ただ明らかであることを言いたい時に自明を使います。

例えば、「強豪チームと対戦したらうちのチームが敗北するのは自明だ」といった使い方をします。

また、明らかであることを表現する言葉ですが、必ずしもそれが客観的に見て正しいというわけではありません。

この場合、人によっては強豪チームと対戦しても互角に戦えると思う人もいます。

主観的に明らかであるなら自明を使うことができます。

また、ニュアンスに道理が含まれる場合では、「無謀な運転ばかりしていると、事故を起こすのは自明の理だ」といった使い方があります。


「火を見るよりも明らか」とは?

「火を見るよりも明らか」は、中国の古典に書かれている故事成語「火を見るよりも明らかなり」が元になった言葉です。

疑う余地が全くないほど明らかであることをいいます。

燃えている火を見れば誰しも火だと分かるので、これが火なのかといった質問は出ません。

それぐらい明白なことを意味しています。

中国の「盤庚上」という書経に登場します。

「火を見るよりも明らか」は、マイナスのイメージに使われる言葉です。

例えば「信頼を失うのは火を見るよりも明らかだ」など、否定的かつ批判的なニュアンスが含まれます。


「自明の理」と「火を見るよりも明らか」の違い

どちらも言うまでもなく明白なことを表す言葉ですが、「火を見るよりも明らか」には否定的だったり批判的なニュアンスが含まれます。

悪い結果が訪れることが予想できる際などに使われます。

それに対して「自明の理」は、ただ明らかであることだけを意味しています。

それから「自明の理」は日常会話で用いられることはほとんどなく、新聞や雑誌の論説、コラムなどで使われることが多いです。

あまり耳慣れない言葉で、堅苦しい印象があります。

「火を見るよりも明らか」もあまり日常会話では使われませんが、「自明の理」よりは耳にする機会が多いです。

まとめ

「自明の理」「火を見るよりも明らか」の違いは、否定的及び批判的なニュアンスが含まれるかどうかです。

そういったニュアンスが含まれるのは「火を見るよりも明らか」で、「自明の理」には含まれていません。