物事の量や程度をあらわす言葉として「過分」と「応分」があります。
このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「過分」と「応分」の違いについて解説します。
「過分」とは?
「過分」とは、「適正な水準よりも多いこと」を意味する言葉です。
「過分」の使い方
「過分」の「分」には「物事を同じ量でいくつかにわけたときのひとつ」という意味があります。
「当分」や「取り分」などで使われる言葉ですがそこから転じて「ちょうどいい水準」という意味合いでも使われることがある表現です。
「分相応」という言葉は「自分の立場や能力にちょうどいい適切な水準」という意味を持ちます。
「過分」とは「分を過ぎていること」を表します。
要するに「本来適正とされる水準や釣り合いが取れる量よりを過ぎていること」であり簡単にいえば「多すぎる」「過剰である」事を意味する言葉です。
本来もらえる金額よりもたくさんお金をもらったときや必要以上に丁寧な対応をされたときなどに「過分」という表現を用います。
一般的には間違って多く負担したり相場がわからずに過剰になったりするのではなく「適正な水準をふまえた上で感謝や誠意を示すためにあえて過剰にすること」を指して「過分」と表現します。
「応分」とは?
「応分」とは、「丁度よく適切な水準であること」を意味する言葉です。
「応分」の使い方
「応分」の「応」には「こたえる」という意味がありますが、そこから転じてある物事に対して適切で一番いいことを指す「ふさわしい」という意味があります。
「応分」とは「ふさわしい分」つまり「ある物事との釣り合いを考えたときに丁度よく適切な大きさや量」を意味する言葉です。
働きに対して支払われる給料や貢献を換算して決まる取り分など「評価に見合うだけの見返りとしてふさわしい」というのが「応分」の意味合いです。
10人が平等に協力して物事を成し遂げたとき得られた利益を10等分して支払われる場合は「応分」となります。
「過分」と「応分」の違い
「過分」と「応分」の違いは「適切な水準をオーバーしているか」です。
「過分」は本来適切とされている水準をオーバーしていることを表します。
給料をたくさんもらったり分け前が多かったりなど負ったリスクや果たした貢献度に対して受け取る分量が多いことをあらわす言葉です。
「応分」は客観的に考えて適切な水準を意味します。
基準となるのは個人の働きや能力であり軌道等と受け取れる金額の給料や果たした責任に応じた報酬など、その人に見合っている適正量を指す言葉です。
適正ラインを超えて多すぎる場合は「過分」、適正ライン上でちょうどいい場合は「応分」という区別で使い分けられます。
「過分」の例文
・『社長から過分なボーナスを頂いた』
・『絶賛の言葉で褒めてもらったが未熟な私にとっては過分な評価である』
「応分」の例文
・『働きに見合った応分の報酬を受け取る権利がある』
・『今の給料はとても応分とはいえない安月給だ』
まとめ
「過分」と「応分」はどちらも程度をあらわす言葉ですが意味は大きく異なります。
同じ物事であっても人や立場の違いで適正水準は変化します。
どちらの言葉を使えばいいのか、自分の基準で判断するのではなく様々な情報を総合的に判断して選んでください。