この記事では、「タクトタイム」と「サイクルタイム」の違いを分かりやすく説明していきます。
「タクトタイム」とは?
「タクトタイム」とは必要となる数を生産するために、実働時間で平均どれだけのペースを維持する必要があるかを指す数字です。
たとえば毎月の実働時間が150時間の工場で、毎月3万個の部品を生産する必要がある場合、実働時間を秒単位に換算し、必要数である3万で割れば、平均して18秒で1個完成するペースを維持しきれば、毎月3万個の部品を生産できます。
この18秒が、この工場で必要数を生産するための「タクトタイム」です。
このように必要数を揃えるために維持しなければいけない生産スピード、目標を達成するために生産物1つあたりにかけられる時間が「タクトタイム」になります。
「タクトタイム」はいわば目安なので、実際生産に掛かる平均時間が「タクトタイム」と一致しているとは限りません。
「サイクルタイム」とは?
「サイクルタイム」とはものを1個生産するのに掛かった時間、平均どれだけのペースで生産を続けられたかを指します。
1個あたりの平均値なので、部品を作るための作業工程が1サイクル5分でも、1サイクルで10個同時に完成するなら、「サイクルタイム」は30秒です。
「サイクルタイム」を「タクトタイム」と一致させることで、過不足なく必要なものを必要なだけ生産する事ができ、「サイクルタイム」が「タクトタイム」より長くなれば生産数が足りなくなりますし、短くなれば余剰生産してしまったり、無駄な時間が生まれてしまいます。
「タクトタイム」と比較し、必要数を期限までに揃えられるか判断するために使われることが多いですが、最大でどれだけの数を作ることができるかの目安を計るために使われることもあります。
「タクトタイム」と「サイクルタイム」の違い
「タクトタイム」と「サイクルタイム」の違いを、分かりやすく解説します。
期限までの実働時間内に必要数を生産するため、生産物1つあたりにどれだけの時間を掛けられるかの目安が「タクトタイム」です。
それに対して生産工程で1サイクルにどれくらいの時間がかかっていて、1個あたりどれだけの時間が掛かっているかの実数値が「サイクルタイム」になります。
「タクトタイム」は生産ペースの目安として設定されている時間に過ぎないのに対し、「サイクルタイム」は実際の生産ペースであり、実際に掛かっている時間の実数値です。
まとめ
工場はただものを生産すればいいわけではなく、必要とされているものを必要なだけ生産する必要があり、それより少なくても多くても問題があります。
「タクトタイム」はその必要なものを必要なだけ生産するために維持し続けなければいけない平均時間であり、実際1個あたりの生産に掛かっている平均時間である「サイクルタイム」は、「タクトタイム」と可能な限り一致させることが望ましいです。