氾濫原と後背湿地は地形を表す言葉で、非常によく似ています。
氾濫原と後背湿地の違いについて紹介します。
氾濫原とは?
氾濫原とは、河川の堆積作用によって作られる平坦な土地のことをいいます。
土や砂、小石などが河川が氾濫する際に運ばれ、堆積することで形成されます。
氾濫原は、洪水が起きた時に冠水する範囲のことをいいます。
扇状地と三角州の中間部分に当たります。
扇状地は、山地を流れる河川が運んだ砂や礫が谷口を中心に扇状に堆積した土地のことです。
三角州は、河口付近に河川によって運ばれた砂や礫が堆積して形成された土地になります。
山地から平野にさしかかる部分にできるのが扇状地で、平野にできるのが氾濫原、平野と海の境目の部分にできるのが三角州です。
そのため氾濫原の堆積物は三角州よりも粒が荒く、扇状地よりも粒が細かくなっています。
氾濫原は水を得やすい地形なので、水田などに利用されてきました。
後背湿地とは?
後背湿地は、自然堤防の背後に形成される少し低くなっている土地のことをいいます。
氾濫原のうち少しだけ高くなっている部分が自然堤防と呼ばれており、河川の流れに沿って形成されます。
河川が氾濫すると砂や礫、泥などを含んだ水が流れてきますが、流れが弱まるとそれらを運ぶ力が弱まり砂や礫などが堆積します。
それにより自然に形成されるのが自然堤防です。
自然堤防には粒が大きな砂が堆積するのですが、それよりも低い土地には、細かい粒子の砂が集まりゆっくりと堆積していきます。
氾濫が収まれば水は河川に戻りますが、高さのある自然堤防があるため低い土地では水が引かずに残ってしまいます。
それが沼や湿地となり、後背湿地と呼ばれているのです。
後背湿地は、水田として利用されてきた歴史があります。
稲作を主体とする日本では、水を得やすい後背湿地は米作りに最適だったからです。
水田の周りには集落も生まれています。
ただし、洪水が起きると浸水するリスクがあります。
また、泥や砂が多く含まれる土地なので、他の地盤と比較すると軟弱です。
昔は後背湿地を水田として活用し、家は少し高くなっている自然堤防に建てるのが一般的でした。
しかし、現在は宅地開発なども進み、後背湿地が新興住宅地となったところもあります。
地盤が軟弱なので地震のリスクも高く、液状化なども起こりやすいと問題視されています。
氾濫原と後背湿地の違い
後背湿地は氾濫原の一部です。
氾濫原は、河川の氾濫によって運ばれた砂や礫が堆積して生まれた地形になります。
氾濫原の中でも少し高くなっている部分を自然堤防といい、その背後にある低地を後背湿地といいます。
まとめ
氾濫原は、河川が洪水を起こした時に浸水する部分です。
砂や礫が河川によって運ばれ堆積することで形成されました。
その中の一部に後背湿地があります。
高さがある自然堤防の背後に形成されるので、洪水の際には水が引きにくいという特徴があります。
そのため湿地や沼になります。