「大名」と「将軍」の違いとは?分かりやすく解釈

「大名」と「将軍」の違い専門用語・業界用語

江戸時代には「大名」「将軍」と呼ばれる武士が人々を治めていました。

時代劇でもよく耳にする言葉ですが具体的にはどのような存在なのでしょうか。

今回は、「大名」「将軍」の違いについて解説します。

「大名」とは?

「大名」とは、「江戸幕府に使える武士のうち知行一万石以上を与えられている者」を意味する言葉です。


「大名」の使い方

「大名」はもともと「田畑を所有する人」を意味する言葉でした。

平安末期頃に誕生したとされる地方において田畑を所有し小作人などに耕作させて収穫された作物の一部を税として取り立てる存在が「大名」です。

鎌倉時代に入ると個別の田畑ではなくもっと大きな地域を治め家臣団を形成する軍閥をさして「大名」と呼ぶようになります。

戦国時代には各地を治める地方軍閥の投手のことを「大名」と呼ぶようになりましたが江戸幕府の成立以後は「江戸幕府から知行一万石以上を与えられている家臣」という意味に変化します。

一般的に「大名」というと「地方領主」というイメージが強いのですが、江戸幕府は禄高によって規定されているためいわゆる地方のお殿様というイメージになじまない「大名」も存在します。

江戸時代の幕臣たちは地方に領地を持ちながら中央で勤務するという変則的な働き方をする人がとても多かったため「大名」でありながらほとんど領地に戻らず江戸で政務に集中するものも少なくありませんでした。

世襲制で親の持つ領地を受け継いだり養子に入ったりする形で「大名」になるのが一般的ですが低い身分から出世と加増を重ねて「大名」にまで上り詰めた人もいます。


「将軍」とは?

「将軍」とは、「征夷大将軍の略で日本における武士の頭領」を意味する言葉です。

「将軍」の使い方

「将軍」という言葉は時代によって意味が変わる言葉です。

基本的には「征夷大将軍」を指し「天皇によって任命される軍司令官」を意味します。

日本では平安時代以降天皇を頂天とする政治体制が続きましたが武士の時代になると政務を武士の頭領が勤める軍事政権によって国が治められる二重構造が発生します。

軍事政権におけるトップに立つ地位が「征夷大将軍」つまり「将軍」です。

江戸時代以前と以降では「将軍」の権力が大きく異なります。

江戸時代以前の「将軍」は立場も不安定で自由な政治も不可能でしたが、江戸時代以降の「将軍」は国の実質的なトップでありほぼ独裁に近い支配体制の頂点に君臨します。

300年に渡る長期政権は「将軍」による支配の時代に当たります。

現代で「将軍」という場合は「軍の将官」です。

自衛隊では用いられない呼称ですが海外の軍隊で准将以上の以上の階級をまとめて「将軍」と呼びます。

「大名」と「将軍」の違い

江戸幕府において「大名」「将軍」「家臣と主君」の関係にあたります。

「大名」「将軍」に使える家臣であり明確な上下関係が存在します。

地方を治めるのが「大名」、日本全体を治めるのが「将軍」という立場の違いでも区別されます。

「大名」の例文

・『大名には参勤交代が義務付けられている』
・『大名の中で最も石高が高いのは花芽前だけの百万石だ』

「将軍」の例文

・『徳川家の将軍は15代まで続いた』
・『江戸城は将軍の本拠地である』

まとめ

同じ殿様と呼ばれる侍でも「大名」「将軍」ではまったく立場が異なります。

時代劇や歴史ドラマでは必ず登場する言葉なので正しい意味を知っておきましょう。