「再結晶」と「蒸留」の違いとは?分かりやすく解釈

「再結晶」と「蒸留」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「再結晶」「蒸留」の違いを分かりやすく説明していきます。

「再結晶」とは?

「再結晶」とは固体を溶かした液体の温度を下げることで、溶かした固体を取り出すことです。

物質は温度が高くなると溶かしやすくなり、逆に温度が下がると溶かしにくくなります。

この性質は多くの物質が共通して持っているものですが、どれくらいの温度だとどれくらい溶けやすいかという溶解度はそれぞれの物質で違うものです。

なので何かの結晶を溶かした液体の温度を適切に下げると、溶解度の違いから溶かした結晶がまた固まり始め、取り出せるようになります。

何か一つの固体を見ても、単一成分だけでできた結晶ではなく、他の不純物が混じっていることが多いです。

しかしそれを一度溶液に溶かしてから「再結晶」することで、元の結晶が含んでいた不純物と、「再結晶」させたい目的物を分離させ、純度の高い固体を結晶化させることができます。


「蒸留」とは?

「蒸留」とは複数の液体が混ざった液体を加熱し蒸発させ、その蒸気を冷却することで液体を取り出すことです。

液体はそれぞれ液体から気体へと変わる温度が違うので、蒸発する温度である沸点が違う複数の液体が混ざった液体を少しずつ加熱し温度を上げていくと、沸点の低い液体の成分だけが蒸発していきます。

この蒸気を何らかの方法で集めて冷却すると、混ざっていた液体を分離させられ、それぞれの液体としての純度を高めることができるというのが、「蒸留」の仕組みです。

液体には共沸という現象があり、それぞれ違う沸点の混合物を最低沸点で沸騰させても、単一の気体だけを取り出すことはできませんが、「蒸留」を繰り返すことでより純度を高められます。


「再結晶」と「蒸留」の違い

「再結晶」「蒸留」の違いを、分かりやすく解説します。

固体を溶かした液体から固体を取り出すのが「再結晶」で、複数の液体の混合物から一つの液体を取り出す目的で行われるのが「蒸留」です。

「再結晶」は物質の溶解度の違いを利用するもので、「蒸留」は液体の沸点の違いを利用するものという違いがあります。

「再結晶」は溶液中に固体が現れるので一つの容器だけでも可能ですが、「蒸留」は加熱する液体を入れる容器と、蒸発した気体を集める容器で複数の容器が必要です。

またそれぞれを行うための主な方法として、「再結晶」は溶液の温度を下げることで固体を取り出しますが、「蒸留」は逆に温度を上げることで一度気体にさせて取り出します。

まとめ

どちらも不純物を分離させる方法ですが、「再結晶」は固体の不純物を分離させるもので、「蒸留」は液体の不純物を分離させるためにするものです。

「再結晶」は固体を液体にしてからまた固体にするので、分離のために温度を下げる必要があり、「蒸留」は液体が気体になった時点で分離されるので、気体へと蒸発させるために温度を上げる必要があります。

どちらも目的物から不純物を取り除くために行われますが、固体と液体では目的物を取り出すための方法も違い、その違いが「再結晶」「蒸留」です。