この記事では、「投資」と「投機」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「投資」と「投機」の違い
「投資」とは、利益を取得する目的で、事業や不動産、証券などに資金を出すことです。
比喩的に用いられるように成って、将来の利益のために多額の資金を投入することにも使われるようになりました。
後者の例は、「自己投資」、「子供への投資」などです。
「投機」とは、短期的な価格の変化から利益を取得する行為です。
安い時に買い、高い時に売るという取引で利ザヤを確保します。
日本語と英語における「投機」の背景には、違いがあるのですが、日本語は、仏教用語における心機投合、師弟の心機が統合するという意味の言葉が転じたものです。
「投資」の歴史は古く、紀元前20世紀の古代メソポタミアでは、アッシリアとの取引の過程で、行われていたことが分かっており、紀元前18世紀のハンムラビ法典ではその一端が明文化されています。
旧世代型の「投資」は、取引の先払いや不動産の賃貸料のような側面が強いものでしたが、現代型の「投資」は、大航海時代が始まりと言われており、1492年にコロンブスがイザベル女王に航海の資金を出してくれれば、西回りの航路で黄金の国ジパングへ早く到達出来るので、そこで得られた黄金などの利益を分配するという約束したことが発端です。
このころの「投資」は、確実性が低くギャンブルや冒険の側面が強くなっています。
英語における「投機」の意味は、ギャンブルや冒険といった言葉に置きかえられているので、この辺りから使われるようになっています。
「投資」と「投機」の使い方の違い
現代における「投資」と「投機」の使い分けは、資金を提供した期間が長いもので、ローリスクなものを「投資」とし、資金を提供した期間が短く、ハイリスクなものを「投機」としています。
「投資」には、全体的な利益を上げていき、資産価値の維持または向上などを目的とした、長期的な資金の投入が基本でプライサムゲームを目指す形となっていますが、「投機」には、誰かが得した分の利益は、誰かが損した分の資金であることから、ゼロサムゲームとされています。
「投機」要素を加速させる方法として、貸している方にはリスクが少ないレバレッジという仕組みがあり、自己資金よりもなん倍も多い資金を短期的に借り入れて、「投資」対象への資金を多く投入し、利ザヤの幅を動かす仕組みが働いているためです。
「投資」と「投機」の曖昧な部分としては、どちらもギャンブル要素が多少含まれていることですが、「投資」としてプライサムゲームを目指したとしても、結果的に全体の利益が低下を招いてしまうことや、「投機」のつもりでも短期的に全体的な利益があがってしまいゼロサムゲームとは言い難い状況になってしまうこと、同じ「投資先」に「投資」目的の人と「投機」目的の人が複合的に存在していることなどがあげられます。
投資と投機の英語表記の違い
「投資」の英語表記は、細かい目的により使い分けが必要です。
資本、資本金、元金などの意味で“capital”となり、投資、資本化、現金化、資本見積額などの意味で“capitalization”となり、投資、出資、投下資本、投資金、投資対象、投資物件などの意味で“ investment”となります。
“capitalization”と“ investment”の使い分けは、“capitalization”が現金などを受ける方向であるのに対し、“ investment”が、現金を出資する方向であるということがあげられます。
「投機」の英語表記は、投機、思索、推測、憶測、思わく買い、やまなどの意味で、“speculation”となり、投機、(危険を伴う)冒険、ベンチャー、事故、冒険的事業、おもわく、やまなどの意味で“venture”となります。
“speculation”と“venture”の違いは、“speculation”が大企業を含む意味をもつことと、“venture”が冒険的事業や小規模ビジネス、ベンチャー企業のような意味を持つことから、“venture”の方がより危険度が高いイメージを持ちます。
「投資」と「投機」を使った例文
・『安全な投資がある』
比較的リスクの少ない投資を示しています。
・『投資株を厳選しなくてはならない』
投資を目的とした株式を厳選することを示しています。
・『投資信託する』
資金を他人に預けて、運用は投資信託を受けた側がおこなうことを示しています。
・『投機で儲ける』
短期的に資金向上を目指して設けることを示しています。
・『将来を見越して自己投資する』
将来を見越して、勉強することを示しています。
・『一攫千金をめざして投機する』
短期的な資金運用して、一攫千金をめざすことを示しています。
・『ヘッジファンドが投機を仕掛ける』
信託された資金を大量に有するヘッジファンドは、短期的に株式を買うことで、市場の値上がりを引き起こせるので、短期間で利益をあげやすくなることを示しています。
・『投資も投機もリスクがある』
どちらにもリスクがあることを示しています。
・『投機的な投資はリスクが高い』
リスクが高い投資は投機的であることを示しています。
「投資」の類語
出資、融資。
出資とは、事業などのために資金をだすことです。
投資や融資よりも広い意味で使えます。
融資とは、特に金融機関が資金を貸し出すことです。
「投機」の類語
ハイリスクハイリターン、賭博性の高い。
ハイリスクハイリターンとは、危険度が高いけど得るものが大きいことです。
賭博性の高いとは、かけ事の性質が強いことです。
「投機」の対義語
「投機」の対義語として「堅実」があります。
「堅実」の意味
「堅実」とは、手堅く確実なこと。
確かであぶなげのないことやそのようすです。
「堅実」を使った例文
・『安全な投資がある』
比較的リスクの少ない投資を示しています。
・『投資株を厳選しなくてはならない』
投資を目的とした株式を厳選することを示しています。
・『投資信託する』
資金を他人に預けて、運用は投資信託を受けた側がおこなうことを示しています。
・『投機で儲ける』
短期的に資金向上を目指して設けることを示しています。
・『将来を見越して自己投資する』
将来を見越して、勉強することを示しています。
・『一攫千金をめざして投機する』
短期的な資金運用して、一攫千金をめざすことを示しています。
・『ヘッジファンドが投機を仕掛ける』
信託された資金を大量に有するヘッジファンドは、短期的に株式を買うことで、市場の値上がりを引き起こせるので、短期間で利益をあげやすくなることを示しています。
・『投資も投機もリスクがある』
どちらにもリスクがあることを示しています。
・『投機的な投資はリスクが高い』
リスクが高い投資は投機的であることを示しています。
堅実の類語
律儀、真面目、堅い、真っすぐ、清廉、堅調、健全、手堅い。
まとめ
「投資」と「投機」の違いについて解説しました。
「投資」は、利益を取得する目的で、事業や不動産、証券などに資金を出すことで、「投機」は、短期的な価格の変化から利益を取得する行為です。
「投資」には、比喩的な表現として自己投資や子供への投資などの使われ方があります。
資金提供期間が長くローリスクなものが「投資」であり、資金提供期間が短くハイリスクなものが「投機」です。