「明文化」と「明確化」の違いとは?分かりやすく解釈

「明文化」と「明確化」の違い専門用語・業界用語

「明文化」「明確化」は、一文字違いで、似た意味をもつ言葉です。

しかし、この二つには違う意味があります。

この記事では、「明文化」「明確化」の違いを分かりやすく説明していきます。

「明文化」とは?

「明文化」とは、はっきり文書で書き示すことを意味します。

「明文」には、はっきりと規定されてある条文、わかりやすく筋の通った文章という意味があります。

似た言葉として「成文化」がありますが、こちらは、慣習として人々が了解している事柄や新たに決められた事柄を文章として書き表すことを意味する言葉です。

日本の憲法は、文章として書き表された成文法ですが、イギリスのように成文化されていない憲法を持つ国もあります。

文章化されていれば「成文化」されているといえますが、それだけでは「明文化」されているとは限りません。

書かれるべき内容が文章にはっきりと表示されて初めて「明文化」されたと言えます。

「明文化」は、英語で“stipulation”といいます。


「明文化」の使い方

動詞として使う場合には、「明文化する」という形で使われます。

あいまいなルールや慣習、決まり事などを法律や規定としてはっきり文章で書き示すことを表して「ルールを明文化する」「憲法で明文化された」などと言います。

身体の自由や表現の自由、生存権は、憲法で「明文化」された権利ですが、人権は憲法に「明文化」されたものに限られるわけではありません。

例えば、知る権利は憲法上に明記されていないものの、表現の自由から導かれます。

また、プライバシーの権利もその言葉自体は、憲法で明文化されていませんが、一般的に重要な人権として認められています。


「明確化」とは?

「明確化」とは、曖昧なことをはっきりしていて間違いのない状態にすることを意味します。

「確」という漢字には、本当の、間違いない、くるいがないという意味があります。

似た言葉として「正確化」がありますが、こちらは事実と合っていて少しも間違いのないようにすることを意味する言葉です。

「明確化」は英語で“clarification”といいます。

「明確化」の使い方

動詞として使う場合には、「明確化する」という形で使われます。

「方針を明確化する」「責任を明確化する」というように、曖昧なものをはっきりさせることを指して使います。

「明文化」と「明確化」の違い

「明文化」は、はっきり文章で書き示すことを意味しますが、「明確化」は、はっきりさせることを意味します。

そのため、「明文化」するためには、文章として表すことが必要ですが、「明確化」するためには、必ずしも文章として表す必要はありません。

明確にすることができれば、文章ではなく口頭でも「明確化」といえます。

まとめ

「明確化」は、はっきりさせることで、「明文化」は、はっきりと文章で書き示すことです。

「明文化」は、文章化が必須条件ですが、「明確化」は、文章化してもしなくても大丈夫です。