市民が直接政治に関わる方法として「住民投票」と「選挙」があります。
このふたつは具体的にどのように違うのでしょうか。
今回は、「住民投票」と「選挙」の違いについて解説します。
「住民投票」とは?
「住民投票」とは、「市町村などの地域において住民の意思を問うために行われる投票行為」を意味する言葉です。
「住民投票」の使い方
日本では住民の代表として議員を選出して政治を運営する間接型の政治形態が採用されています。
住民は公約や政策を通じて自分と意見の合うものを選び出し議会に送り込んで意思を代弁する形で住民の意思を政治に反映させます。
法律や条例などもそのような形で間接的に住民の意思が反映されますが、特に重要なテーマについては住民の意思を直接的に問うことがあります。
「地域住民の意思を直接確認するために行われる投票行為」が「住民投票」です。
市町村の合併や公職の罷免など「住民投票」の対象になるのは地域の行く末に関わる重要事項です。
「住民投票」は数少ない市民や国民が直接政治参加する機会ですが、代議制をとる日本では直接的な政治参加は例外的なケースに限定されます。
「住民投票」も法律や条例に基づいて行われるもののみであり特定のテーマで投票が必要になった場合は特別に法律や条例を制定して実行します。
「選挙」とは?
「選挙」とは、「集団において代表者などを選出するための活動」を意味する言葉です。
「選挙」の使い方
一般的に「選挙」という言葉は「議員や代表者を選ぶために行われる投票行為」を意味します。
日本では国会議員や市議会議員など住民によって選ばれた議員によって議会が運営される代議員制が採用されていますが、住民の代表である議員は投票によりも多くの票を集めたものが選出されます。
「議員を選出するために行われる投票」が「選挙」であり選ばれたものは多くの人からの新任を得たとみなされて代表者として議会で活動する身分を獲得します。
「選挙」では挙手や投票など誰を選ぶのかが明確に渡る形で集計を取り合計数で当選者を選びます。
基本的には最も多くの表を得た人から順番に当選者が選ばれていきますが、選挙区の区割りや選挙方式などで一票の重みに違いが出ることもあります。
「住民投票」と「選挙」の違い
「住民投票」と「選挙」の違いは「確認される意思」です。
「住民投票」で確認されるのは罷免や政策判断など個別のテーマに対する賛否です。
投票する住民はテーマに賛成か反対かを明らかにして投票行為を行い集計結果により住民の意思判断が示されます。
「選挙」で確認されているのは誰を選出するかです。
投票する人は誰がふさわしいかを判断して意思を示し結果により人が選ばれます。
個別のテーマに対する賛否を確認するのが「住民投票」、人を選び出すのが「選挙」という違いで区別されます。
「住民投票」の例文
・『市町村合併の賛否を当住民投票が行われた』
・『住民投票の結果、市長のリコールが決まった』
「選挙」の例文
・『選挙で新人候補が当選した』
・『政治家にとって選挙は一番の関心事である』
まとめ
同じ投票行為でも「住民投票」と「選挙」はまったくの別物です。
直接的に政治に参加する数少ない機会なので何を目的に行われるものなのかをきちんと理解した上で参加しましょう。