経済学における市場モデルとして「完全競争市場」と「独占市場」と「寡占市場」があります。
これらはいったいどのような市場を指しているのでしょうか。
今回は、「完全競争市場」と「独占市場」と「寡占市場」の違いについて解説します。
「完全競争市場」とは?
「完全競争市場」とは、「すべての経済主体が価格を基準に行動し経済主体同士の需要と供給によって価格が決定する市場」を意味する言葉です。
「完全競争市場」ではすべての経済主体は価格決定力を持たず与えられた価格により行動が決定します。
ある商品の販売価格は販売者が決めるのではなくどのくらい売れるのかによって自然に決まる、というのが「完全競争市場」の基本的な考え方です。
「完全競争市場」で商品価格を決めるのは売りたい価格と買いたい価格の一致、つまり市場そのものです。
100円で売りたい人と買いたい人の数が釣り合ったとき、その商品は受給均衡によって決まった100円が商品の適正な価格です。
110円では買いたい人が少なく90円では売りたい人が少ないので市場において自動で需要と供給が決定されちょうど釣り合う100円という価格に落ち着きます。
このような需要と供給の均衡によって決まる価格を「均衡価格」といいます。
「完全競争市場」の例文
・『完全競争市場が達成されると経済は最適化される』
・『完全競争市場ではすべての参加者に取引量と価格に関する情報が与えられる』
「独占市場」とは?
「独占市場」とは、「売り手もしくは買い手が1企業しか存在しない市場」を意味する言葉です。
「独占」とは「他に人がおらず独り占めしている状態」を意味します。
「独占市場」とは「特定の存在により独り占めされている市場」であり、一般的には「市場に参加している売り手もしくは買い手が1企業のみの市場」を指します。
「独占市場」における市場価格は需要と供給によって決定するのではなく独占している存在の独断によって決まります。
価格決定権を特定の存在に握られてしまっているため健全な競争は発生せず一方的に決められた市場価格を強いられます。
「独占市場」の例文
・『独占市場なので価格下落は期待できない』
・『新たな参入企業の登場により独占市場が崩れる可能性が指摘された』
「寡占市場」とは
「寡占市場」とは、「売り手もしくは買い手が限られた少数しか存在しない市場」を意味する言葉です。
市場の異規模や影響力によって数は異なりますが、一般的には10社以下の企業が価格に強い影響力を有している市場のことを「寡占市場」と呼んでいます。
「寡占市場」ではごく少数の企業の意向により価格が大きく左右されます。
値上げや値下げがわずか数社の判断で行われてしまうため健全な競争が行われない不健全な市場です。
「寡占市場」の例文
・『寡占市場では一部の企業の談合によってすべてが決まってしまう』
・『石油取引市場はオイルメジャーと呼ばれる大企業が大部分を占める寡占市場である』
「完全競争市場」と「独占市場」と「寡占市場」の違い
売り手も買い手も多数存在し個別の経済主体だけで価格が左右されない市場が「完全競争市場」です。
「独占市場」では売り手もしくは買い手が一人や一企業のみであり個人や個別企業の思惑によって価格が決定します。
「寡占市場」は複数人や複数企業によって売り手や買い手が占められていて価格各決定力を有している市場を指します。
まとめ
「完全競争市場」と「独占市場」と「寡占市場」は経済学では必ず学ぶ基本的なモデルです。
現実経済を見ると気にも役立つのでそれぞれの意味と違いを知っておきましょう。