同じ音で似たような意味で使われる言葉として「行く」と「往く」と「逝く」があります。
この言葉はどのような違いで使い分ければいいのでしょうか。
今回は、「行く」と「往く」と「逝く」の違いについて解説します。
「行く」とは?
「行く」とは、「目的地に向かって移動すること」を意味する言葉です。
「ある場所から他の場所へと移動する行為」が「行く」であり、基本的には目的地が決まっているときに使われる表現です。
移動の手段は問わないので歩いても走っても乗り物に乗っても全て「行く」です。
前に向かって進んで移動することから転じて「物事が先に進むこと」という意味でも使われます。
「計画がうまく行く」という場合は計画が移動しているのではなくうまく進行していることを表します。
「この場から離れること」を意味するので他の場所からこちらに移動してきている場合に使うのは「行く」ではなく反対語の「来る」です。
「行く」の例文
・『診察を受けるために病院に行く』
・『子どもと一緒に遊園地に行く』
「往く」とは?
「往く」とは、「戻ってくることを前提に移動すること」を意味する言葉です。
進んでから戻ってくることを「往復」といいますが「往」という字には「進んでから戻ってくるときの進むほう」という意味があります。
「何かの用事があってこの場を離れて移動するがいつか必ず戻ってくる」ときに「往く」という表現を用います。
戻ってくることを前提にした表現「出かける」「往く」とは非常に近しい意味合いの言葉です。
「往く」の例文
・『電車で往くが帰りはバスを利用する予定だ』
・『飛行機のチケットが帰り便しか取れないので新幹線で往くことにする』
「逝く」とは
「逝く」とは、「生き物が亡くなること」を意味する言葉です。
「逝く」は本来「過ぎ去る」「手の届かない場所に移動する」という意味出つ買われる表現です。
取り戻せない過去などを表すことから転じて「人が手の届かない場所に移動する」すなわち「死亡すること」を表します。
一般的には「死ぬ」の婉曲的な表現として使われている言葉で亡くなった人を惜しむ気持ちを込めて使う表現です。
「逝く」の例文
・『闘病の末に祖父が逝く』
・『長生きすると逝く人を見送る機会も多くなる』
「行く」と「往く」と「逝く」の違い
「行く」と「往く」はどちらも場所の移動を意味する言葉です。
「行く」がこの場から離れて移動するのを表すのに対し、「往く」はこの場所に戻ってくることを前提に移動することを表すという違いがあります。
戻らない可能性もあるのが「行く」で戻るつもりで移動するのが「往く」特別されます。
「行く」と「往く」はどちらも「空間の移動」を表しますが、「逝く」は人の死や過ぎ去った時間など人の力が及ばないものに対して使われる表現です。
どこかに移動するのが「行く」、戻るつもりで移動するのが「逝く」、どうにもならないところに移動するのが「逝く」という違いで使い分けられます。
まとめ
「行く」と「往く」と「逝く」は似たような意味ですがそれぞれ表している内容がまったく違います。
目的や対象に注意してふさわしい表現を使いましょう。