この記事では、「競争」と「競走」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「競争」と「競走」の違い
どちらも、「きょうそう」と読む同音異義語の「競争」と「競走」。
他人と競う際に用いられる言葉ですが、まったく同じ意味というわけではなく、微妙に違う意味となります。
「競走」の場合、走る速さを競い合う際のみに使用することができ、「競争」の場合は、様々な勝敗や優劣を競い合う際に使用することができる言葉となります。
そのため、「競走」よりも「競争」の方が幅広く使用することができるといった違いがあります。
そこで、今回、同音異義語で使い分けが難しい「競争」と「競走」について説明させて頂きます。
「競争」と「競走」の使い方の違い
他の人と競い合うこと全般に用いることができる「競争」とは異なり、他の人と走ることで競い合うことのみに用いることができる「競走」は、どうしても、使い方の制限も多くなってしまいます。
「競争」の場合、競い合う内容が速さに限られることはなく、「生存競争」などといった使い方もあります。
一方、「競争」の場合は、走って速さを競い合うのみに用いられることになり、「徒競走」や「障害物競走」などといった使い方になります。
「競争」と「競走」の英語表記の違い
「競争」は英語では、contest; race; competition; rivalryとなります。
「競争する」は、compete 《with somebody, for something, with [against] somebody in something》、rival 《somebody in something》、contest 《an election》。
「競争相手」は、a competitor、a rivalです。
「競走」は英語では、racingとなります。
「競走する」は、run [have] a race 《with》、race (against) somebody。
「100 メートル競走」は、a 100‐meter race [dash]です。
「競争」の意味
互いに同じ目的に向かって勝敗・優劣を競い合う意味を持つ「競争」。
この「競争」において、競い合うものは、その都度異なるものとなります。
どんなことで勝負するのか、どんな場面で競い合うのかなど限定されることはなく、様々な場面の競い合いで「競争」を使用することが可能です。
基本的に2つ以上の人や物が優劣を競い合う場合は、「競争」を使用することが可能となります。
「競争」の使い方
幅広い場面で使用することができる「競争」。
「競争相手」や「競争率」、「生存競争」、「価格競争」、「競争心」、「自由競争」、「競争力」といった使い方のほか、「激しい競争」、「競争に明け暮れる」といった使い方があります。
「競争」を使った例文
・『テレビで野生動物の生存競争の場面を見て、いろいろと考えさせられた。』
・『資本主義社会では、やはり、競争に勝たなければならない。』
・『人生において、時にはライバルと言える競争相手を持つことは大切です。』
・『今年の売り上げを達成させるためには、他社との競争に勝つ必要がある。』
「競争」の類語
「競争」の類語には、何かのために競うといった意味を持つ、競い合う、せり合う、争う、闘う、張りあう、競り合う、競いあう、比べる、引きくらべる、勝負、戦う、取り合うなど。
2人以上の競争者から勝者が選ばれる機会といった意味を持つ、競合い、ゲーム、対戦、争い、競、戦い、戦、勝負、手合わせ、争奪などがあります。
「競争」の対義語
「競争」の対義語には、力を合わせるといった意味を持つ「協力」です。
「競走」の意味
一定の距離を走ってその速さを競い合う意味を持つ「競走」。
競い合う人数に決まりはなく、二人以上であれば何人でも問題ありません。
重要なのは、走って競い合うことです。
同じ距離をどちらが速くゴールすることができるか、そのことを競い合う場合のみ「競走」を使用することができます。
また、競い合うものは人に限らず、車などの乗り物、動物でも用いることができます。
「競走」の使い方
「競走」の場合、使い方の幅は非常に狭くなります。
「徒競走」や「50メートル競走」、「オートバイ競走」、「競走馬」などとなります。
「競走」を使った例文
・『運動会の50メートル競走は花形の競技と言えるのではないでしょうか。』
・『子供のころから、足が遅く徒競走は大嫌いでした。』
・『ファンだった競走馬の引退試合を見に行った。』
・『体育祭での障害物競走の内容について話し合いを行う。』
「競走」の類語
「競走」の類語には、足で駆けるレースといった意味を持つ、駆けっこ、駈けっくら、徒競走、ランニング。
スピードを争う競技といった意味を持つ、レース、スピード競技などがあります。
「競走」の対義語
「競走」には、対義語がありません。
まとめ
用いることができる幅が異なる「競争」と「競走」。
同じ競い合いでも、方法に限らず勝敗や優劣を競い合う場合には「競争」を。
走ることに限定し競い合う場合には「競走」を使用することができると覚えておくと安心です。