自分の意見を述べるといった意味合いで似ている言葉に「所見」と「私見」と「所感」というものがあります。
会議の席や公の場で聞く機会のある言葉ですが、これらの違いをたずねられると首をかしげてしまう方もいると思います。
この記事では、「所見」と「私見」と「所感」の違いを分かりやすく説明していきます。
「所見」【しょけん】とは?
「所見」とは、ある事柄を見て観察した上での意見や見解のことを指しています。
一般的に医療の現場で使われることが多い言葉です。
病院を受診した際に医師から「所見が認められます」という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
医師が、患者の顔色や採血や画像検査の結果を見た上で正常な状態とは異なる部分があれば、そういった所からくる病気の可能性など考えそれを患者に伝えたり、再検査を勧めたりします。
ですが「所見」はあくまで医師の見解なので最終的に決定された診断ではありません。
「所見」の例文
・『医師の所見によれば感染の可能性も考えられる』
・『通知表の所見ではよく落ち着きがないと書かれていた』
「私見」【しけん】とは?
「私見」とは、自分一人の意見のことを指し、またその意見を謙遜して言う時に使う言葉になります。
先述の「所見」で医師の意見や見解の根本には、採血や画像検査の結果という第三者的な根拠がありましたが、「私見」には第三者的な根拠はありません。
「私見」はあくまでその人が自分の中だけで考えている意見になります。
語弊がある言い方をしてしまえば、その人の勝手な意見ということにもなります。
その為、必然的に「私見」という言葉の中には「謙遜」という意味合いが含まれてくるわけです。
「私見」の例文
・『恐れながら、私見を述べさせていただきます』
・『経営に関する私見が他者とは違っている』
「所感」【しょかん】とは?
「所感」とは、ある事柄を見たり聞いたりしたことによる感想のことを指します。
感想という言葉を使いましたが、「所感」の意味合いに使われる感想は、通常の感想とはニュアンスがちょっと違います。
「所感」の中での感想は、感情の動きなどで左右されることのない客観的で冷静な目線で感じた思いといったニュアンスになります。
その人の感想ではあるけれど、その中には他者への意見が隠されているものです。
「所感」の例文
・『影響力のある大臣が所感を述べたことにより状況が変わった』
・『社長の年頭の所感を発表します』
「所見」と「私見」と「所感」の違い
「所見」とは、「ある事柄を見た上での意見や見解のこと」を指した言葉です。
ある程度の根拠があった上での意見や見解ですが、最終的な判断ではありません。
「私見」とは、「ある事柄に対する自分一人の意見のこと」を指した言葉です。
また、謙遜して自分の意見を言う場合にも使われる言葉です。
「所感」とは、「ある事柄を見たり聞いたりした上での感想のこと」を指した言葉です。
そして、客観的に冷静な目線での感想になります。
まとめ
「所見」と「私見」と「所感」について述べてきましたがご理解いただけましたでしょうか。
日常でビジネスの場でよく使われる言葉ですので、是非覚えておきたいものです。