この記事では、「元祖」と「初代」と「本家」の違いを分かりやすく説明していきます。
この3語はどれも伝統や歴史を感じさせる言葉ですが、「対象範囲」に差がありますので、この記事を参考にしていただければ幸いです。
「元祖」とは?
「元祖」とは、物事を最初に始め広めた人のことを指します。
物事の発祥や源、起源を指し、ある物事を最初に始めて、世に広めたことを表す場合や現在も残る伝統や歴史をアピールする場合に使われる言葉です。
お店などが名乗る場合が多いですが、学問や武道、華道、茶道などの芸事について表す際にも多く使用されます。
また、仏教では宗派の開祖としても使われます。
「創始者」と言い換えることもでき、「創始者」の作り出したお店や流派であれば後述の「本家」、当主などの役職であれば「初代」にも相当します。
なお、2代目や弟子が流れを継いで新たにお店などを作り出す場合は「本家」ではありますが「元祖」ではありません。
血筋や師弟関係の繋がりは関係なく、何かをはじめ広げることが「元祖」、で、「元祖」から血筋や師弟関係を通じて正当に技術や思想を継承した集団、機関が「本家」という違いがあります。
「初代」とは?
「初代」とは、継続しているある物事について最初に就任した人や製品化した物のことを指します。
役職や職務に初めて就任した人のことやバージョンアップを繰り返す製品や道具の第一世代を意味する言葉です。
多くの場合、伝統的、歴史的に続いている役職や使われ続ける製品、シリーズ化されている物語など「継承されているもの」について使われます。
なお、2代目や弟子が流れを継いで新たに就任した役職などは「本家」ではありますが「初代」ではありません。
また、前述の「元祖」のような物事を初め広めた人が兼任する場合もありますが、必ずしもそうなるわけではなく、他者が作り出した役職や職務に別の人が初めて就任した場合、「初代」となるのは後者です。
「本家」とは?
「本家」とは、物事を最初に始め広めた人の本筋の「家」を指します。
ここで言う「家」は単なる建築物でなく、家族や仲間といった意味です。
前述の「元祖」の一族の主となる家筋を指し、流派や宗派などにおける大元となる集団や機関を意味する言葉です。
なお、「本家」に対し、別途独立した「分家」という存在があります。
「本家」の血筋や家筋を持つものの、「本家」の伝統や役職、職務、技術、思想などを継承せず、独立して別途「家」を作る人々を「分家」と呼びます。
「元祖」と「初代」と「本家」の違い
まず、「本家」は「家」という家族や仲間などの「集団、機関」を指すのに対し、「元祖」と「初代」は「個人」を指します。
次に「元祖」と「初代」の違いについては、「元祖」は物事を最初の始めて広げた人、つまり「創始者」指しますが、「初代」は役職や職務に「最初に就任した人」を指す点が違います。
「元祖」が「初代」を兼ねる場合もありますが、他の人が設立した役職に他の誰かが初めて就任した場合は「元祖」=「創始者」と「最初に就任した人」=「初代」が異なるため、違いが生まれます。
まとめ
「元祖」と「初代」と「本家」についてまとめると以下となります。
・「元祖」は物事を最初の始めて広げた人、つまり「創始者」です。
・「初代」は役職や職務に「最初に就任した人」です。
・「本家」は物事を最初に始め広めた人の本筋の「家」です。