「隠遁」と「隠居」と「引退」の違いとは?分かりやすく解釈

「隠遁」と「隠居」と「引退」の違い生活・教育

様々なしがらみから解放され、ひとり静かに生きる人生に憧れる方も世の中にはいらっしゃるかと思います。

そう言ったいわゆる『社会的生活』から離れることを選ぶひとにはいくつかの種類があることをご存知でしょうか。

この記事では、「隠遁」「隠居」「引退」の違いを分かりやすく説明していきます。

「隠遁」とは?

隠遁とは一般社会や俗世とのかかわりを絶ち、山中などに籠って暮らすことです。

特にキリスト教や仏教などの宗教的な背景を持つことが多く、修行として社会的な生活から離れて生きることを「隠遁」と言い、そう言った生活を選ぶひとのことを「隠遁者」「隠者」などのように呼びます。

現代社会では宗教的なこととは関係なく、ただ俗世から離れてひとり静かに生きることを隠遁と言う場合もあります。


「隠居」とは?

隠居とは現在いる社会的な地位を退いたり、家督を譲るなどして表舞台から離れ、静かに暮らすことです。

一般的には家長が自分の意志によってその権利を相続人に譲る事を隠居と言い、またはそのひと自体のことを指します。

例としては「息子に社長の座を譲り隠居することを決めた」などのように使います。

御隠居様で有名な水戸黄門では徳川光圀公が身分を隠し、ちりめん問屋の御隠居として活動していました。

ちなみに日本の民法上の制度としての隠居は日本国憲法の施行と同時に戸主制の廃止と共に廃止されています。


「引退」とは?

引退とはスポーツ選手などが現役選手を辞めて表舞台を離れたり、官職や地位から退いたりすることです。

「今シーズンで野球選手を引退する」「高齢を理由に政界を引退する」などのように使います。

引退は仕事を辞めこれまで活動していた舞台を去ることを指すので、スポーツ選手や政治家などだけではなく芸能人やアイドル、役者、芸術家など、表舞台に立つ職業に広く使われます。

それは人間だけではなく、引退した競馬の馬などは「引退馬」と呼ばれます。

「隠遁」と「隠居」と「引退」の違い

「隠遁」はすべての社会的生活から離れ、山中などに籠って生きることを指します。

対して「隠居」は表舞台からは退きますが社会的な生活を捨てるわけではありません。

今まで背負ってきた社会的な立場や責務を相続人や後継人に譲ることにより、自分は悠々自適な自由な生活を送ることを「隠居」と言うので社会とのかかわりを断つわけでは決して無く、「隠遁」のようにひとり静かに隠れ住むとは限らないのです。

「引退」は主に選手や芸能人、著名人などが現役を辞め表舞台から去るということ自体を指します。

一般的な仕事に就いているひとが仕事を辞める場合にはあまり使いません。

後継人がいる場合もあればいない場合もあり、引退を選ぶ理由も怪我や年齢、転職、不祥事など様々です。

また、本人が自主的に活動をやめる前に亡くなった場合は「引退」とは表現しません。

まとめ

いかがだったでしょうか。

社会との余計なかかわりを断ちひっそりと生きる。

一見寂しそうに思えますが、自分と向き合うことによってまた新たな発見が見えてくるのかもしれません。