この記事では、「栄光」と「光栄」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「栄光」と「光栄」の違い
「栄光」と「光栄」はとてもよく似ている言葉です。
どちらも使われている字が同じで、意味合いもほぼ同一といってよいでしょう。
しかし、実はこの二つの言葉には、ニュアンスの違いがあります。
「栄光」は「名誉の輝かしさ」に重きを置いた言葉です。
成し遂げた功績のすばらしさを強調して言うとき、「栄光」という言葉を使います。
一方「光栄」は「名誉に思うこと」に重点が置かれた語だと考えられます。
「光栄です」などのように用い、へりくだった表現をするときに使われます。
「栄光」と「光栄」の使い方の違い
「栄光」と「光栄」は似た意味の語ですが、使い方が違うため注意が必要です。
「栄光」は、「勝利の栄光」という使い方をしますが、「光栄」は「勝利の光栄」というふうには使いません。
また、「名誉に感じます。
嬉しいです」という意味で「光栄です」と使いますが、「栄光です」とは使いません。
「栄光」と「光栄」の英語表記の違い
「栄光」の英語表記は“glory”(グローリー)です。
“glory”は「栄光」「名声」「名誉」という意味です。
「光栄」を英単語で表すときは、“honored”(オーネット)がよいでしょう。
“I feel honored”のように使うと、「光栄に思う」という意味になります。
「栄光」の意味
「栄光」とは、「輝かしい誉れ」ということです。
「誉れ」は「ほまれ」と読み、「誇りと思うに足りる事柄」のことです。
大きな名誉のことを「栄光」と言います。
「栄光」の使い方
「栄光」は、その名誉の輝かしさを強調して言う言葉です。
「かつての栄光」などのように、過去の誉れについても使うことができます。
「勝利の栄光」「輝かしい栄光」というふうに用いられますが、「栄光に思います」とは使いません。
「栄光」を使った例文
・『勝利の栄光は忘れがたく、そのチームは再び優勝を勝ち取るために、よりいっそう練習に時間を割いた』
・『彼の経歴の輝かしい栄光に、私は泥を塗りました』
・『私はかつての栄光を誇りに思っていますが、そのことについて誰にも言うつもりはありませんでした』
・『昔の栄光に縋ってばかりで、彼は全く成長しようとしなかった』
・『どんな手を使っても栄光を手に入れたい、と彼女は望んでしまいました』
・『一度栄光の味を知ってしまったら、またそれを味わいたくなる』
「栄光」の類語
「栄光」の類語は「栄誉」(えいよ)です。
「栄誉」とは、「人に讃えられる誉れ」という意味です。
また、「栄冠」(えいかん)も類語として考えられます。
「栄冠」とは、元々は「名誉のしるしに与えられる冠」のことでしたが、それが転じて、名誉や勝利を表す言葉になりました。
「栄光」の対義語
「栄光」の対義語は「没落」(ぼつらく)です。
「没落」とは、「昔勢いよく栄えていたものが、落ちぶれてしまうこと」です。
また、「挫折」(ざせつ)も対義語としてよいでしょう。
「挫折」は「勢いがくだかれ、弱くなってしまうこと」です。
また、「途中で失敗し、駄目になってしまうこと」も表します。
「栄光」は「大義や目的を完遂した結果手に入れるもの」ですから、「完遂できなかった」という意味が含まれる「挫折」は、「栄光」の対義語です。
「光栄」の意味
続いて、「光栄」について解説します。
「光栄」も「栄光」と同じく、「名誉である」ということです。
しかしこの二つは、実はニュアンスが異なります。
「光栄」は、「光栄に思う」と使うように、「名誉に思うこと」に重点が置かれた表現です。
「光栄」の使い方
「光栄」は、「名誉に思う」という意味です。
与えられた名誉について、へりくだる気持ちがあるときによく用いられる語です。
「光栄に思う」「身に余る光栄」などのように使われます。
「思い」に焦点が当てられた言葉です。
「光栄です」と使った場合、「自分のような者が〇〇させていただけて嬉しく思います」という意味になります。
「栄光」は「勝利の栄光」というふうに使えますが、「光栄」は「勝利の光栄」とは使えないので、注意が必要です。
「光栄」を使った例文
・『先生に褒めていただいて、大変光栄に思います』
・『まさか勲章をいただけるとは思ってもいませんでした。光栄の至りです』
・『彼は大学の後輩だった。内定が決まったときわざわざ、先輩と一緒に働けるなんて光栄です、と連絡をくれた』
・『僕からの賛辞を君が光栄に思う必要はない』
・『あなたから声をかけてもらえるとは光栄なことだ、と皮肉を込めて彼は言った』
・『お会いできて光栄です。これからよろしくお願いいたします』
「光栄」の類語
「光栄」の類語は「名誉」(めいよ)です。
「名誉」とは、「他から認められている優れた評価」のことです。
また、「栄光」(えいこう)や「栄誉」(えいよ)も、「栄光」と同じ意味を持つ言葉です。
ただし使われ方が異なるので、用いる場合は注意が必要です。
さらに、「僥倖」(ぎょうこう)も類語と考えられる場合があります。
「僥倖」とは「偶然に得る幸運」のことで、受けた名誉について「僥倖でした」とへりくだって用いられることがあります。
「光栄」の対義語
「光栄」の対義語は「屈辱」(くつじょく)であると考えられます。
「屈辱」とは「屈服されて面目を失い、恥ずかしいと思う気持ちのこと」です。
「光栄」が「褒められたり認められたりして名誉に感じる」ということなので、「屈辱」は「光栄」の対義語だと考えられます。
まとめ
「栄光」と「光栄」の違いについてまとめました。
「栄光」は「功績の輝かしさ」に焦点が当てられた言葉です。
これに対して「光栄」は、「名誉に思う気持ち」に重点が置かれた語で、功績についてへりくだった気持ちがあるときによく用いられます。