日本語の一人称にはたくさんの種類があります。
私や僕、俺、吾輩など、性別や年齢、時代などによって使い分けられてきました。
しかし自分のことを示す言葉の中には、これら一人称とはまた少し違うものも存在します。
この記事では、「私」と「当方」と「弊方」の違いを分かりやすく説明していきます。
「私」とは?
私とは一人称のひとつです。
男女や年代関係なく広く使われ、かしこまった場などでは多くの人がこの私を使用します。
わたし、わたくしだけではなく、あたし、わし、わっち、わたい、あちきなど、「わたし」から変化した一人称が数多く生まれてきました。
時代や方言によってその種類は様々です。
また「私(し、わたくし)」は社会や仕事などにおいて一個人としての属性を表すときに用いられ、この反対語は「公(こう、おおやけ)」になります。
たとえば「私用」は仕事などに関係ない行動や物品のことを言い、「公用」は反対に仕事での行動や仕事に使う物品などのことを言います。
「当方」とは?
当方も自分のことを示す言葉のひとつです。
ただ当方は自分自身だけではなく、自分たちが所属する会社や組織のことを表す言葉でもあります。
「こちら」や「わたくしども」とも言い換えることも出来、主にビジネスシーンで多く使用されています。
「こちらは当方が開催しているイベントの案内になります」「一度当方で検討させていただきます」などのように、取引相手や取引先の会社に対して「自分たちの会社」という意味で使われます。
反対に相手個人や取引先の会社を指すときは「先方」と言います。
「弊方」とは?
弊方も当方と同じく自分個人や自分の所属する組織、会社を表すときに使う言葉です。
ただ弊方は謙譲語なので当方より更にへりくだった言い方になります。
「弊方のサービスをご利用いただきまことにありがとうございます」のように、よりかしこまって相手方に敬意を表せます。
ただ弊方という言葉はあまり一般的なものではなく、当方で十分丁寧な言い方になるので、会話の中ではより一般的に使われている『当方』を使用した方が無難です。
また自分たちの所属する会社をへりくだって言うときは『弊社』を使うことがほとんどです。
社内の人間には使わない
当方も弊方もビジネスシーンでより丁寧な表現として使用されていますが、これらの言葉は他の組織の対比として「自分の所属している組織」を表す言葉ですので、社内で使用するのは不自然となります。
もしも社内で自分のことを示すときは「私」、自分の属している部署などを伝えたいときには「わたくしども」を使用した方がよいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょう。
一人称だけでも多くの種類があり、さらに仕事上でのみ使われる言葉やその時々に適した言い換え方など、英語で表せばほとんど「I」や「We」になるものが日本語では何倍にも表現の幅が広がります。
ビジネスマナーとしてこれらの言葉を間違った使い方をしてしまわないよう注意しましょう。