この記事では、「衰弱」と「衰退」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「衰弱」と「衰退」の違い
「衰弱」と「衰退」の言葉はどちらも「衰えること」を意味していますが、「衰える対象の違い」があります。
「衰弱」は主に「人間・動物(生き物)の身体が衰えて弱ること・衰えて死期が近づくさま」を意味していますが、「衰退」のほうは「人間・動物(生き物)が衰えること」ではなくて「物事・国家・集団などの勢い・強さ・活力が衰えること」を意味しているという違いがあるのです。
「衰弱」と「衰退」の使い方の違い
「衰弱」と「衰退」の使い方の違いは、「衰弱」は「人間・動物などの身体が衰えて弱ったり死にかけたりしている場合」に使いますが、「衰退」のほうは「人間などの生き物が衰えて弱る」の意味では使わない違いがあります。
「衰退」の言葉は、「生命力が衰えて弱る意味」ではなく「各種の物事・集団などの勢いや強さ、活力が衰えて弱ること」の意味合いで使われるのです。
例えば、「老齢で体がかなり衰弱しています」の文章を「衰退」に言い換えると、意味・語感に違和感のある文章になってしまいます。
「衰弱」と「衰退」の英語表記の違い
「衰弱」を英語で表記すると以下になります。
“weakness”(弱ること・弱いこと・弱点から衰弱を意味します。)
“become(grow) weak”“weaken”(衰弱する)
「衰退」を英語で表記すると以下になります。
“decline”(衰える・勢いを落とす・衰退する)
“decay”(衰える・崩壊する・堕落する・衰退する)
「衰弱」の意味
「衰弱(すいじゃく)」とは、「身体の健康状態が悪化し、衰えて弱ること」を意味しています。
「衰弱」という言葉は、「人間・動物などの生き物の身体(健康状態)が衰えて弱ること」や「生命力が衰えて弱るさま」の意味合いを持っているのです。
「衰弱」の使い方
「衰弱」は「大病をしてから母は急速に衰弱しました」のような文章で、「人間や動物などの身体が衰えて弱るさま」といった意味で使うことができます。
また「衰弱」には「衰弱死」という言葉もあるように、「人間・動物などの生き物の生命力が衰えて、死期が近づいてくること」の意味合いで使う使い方も存在します。
「衰弱」を使った例文
・『祖母が衰弱していく姿を見ると、胸がひどく痛みましたがどうすることもできません』
・『久しぶりに帰省すると、かわいがっていた愛犬が高齢になり衰弱していました』
・『高齢者になっても食事・運動・睡眠のバランスを取ることで、衰弱の時期を遅くすることはできます』
・『飼い主に遺棄された可哀想な子猫たちの死因は飢えと寒さによる衰弱死でした』
・『インフルエンザで高熱が続いていて、この三日間でかなり疲弊して衰弱しました』
「衰弱」の類語
「衰弱」の類語には、以下のような言葉があります。
「衰微(すいび)」……それまでの勢い・活力が衰えて弱くなること。
「弱体化(じゃくたいか)」……強さ・活力・耐性などが失われて、弱くなること。
「瀕死(ひんし)」……健康状態が衰えたり大怪我をしたりして、死が近づいているさま。
「衰弱」の対義語
「衰弱」の対義語には、以下のような言葉があります。
「強化(きょうか)」……健康状態・勢い・活力などを強めること。
「活性化(かっせいか)」……活力・元気の良さを高めること。
「回復(かいふく)」……衰えていた健康状態が元に戻ること。
「衰退」の意味
「衰退(すいたい)」とは、「物事・国家・集団・ビジネスなどの勢い・強さ・活力が衰えて弱ること」を意味しています。
「衰退」は「人間などの生き物の健康状態の悪化や衰え」ではなくて、「物事一般・国家や会社などの集団が衰えて勢いを失うさま」を意味している言葉になります。
「衰退」の使い方
「衰退」の言葉は、「古代ローマ帝国はゲルマン人の大移動によって急速に衰退しました」「衰退傾向にある会社の建て直しは難しいのです」などの文章で使うことができます。
「衰退」の使い方は「人・動物などの生き物の体が衰えて弱ること」ではなく、「物事・国家・会社などがそれまでの勢い・強さを失い、衰えて弱ること」の意味合いで使う使い方になります。
「衰退」を使った例文
・『一度栄えた文明・国家は、半ば必然的に衰退の歴史を歩んできました』
・『衰退したビジネスのジャンルでも、ニッチな市場では生き残る道があります』
・『日本が少子高齢化によって衰退する予測はあっても、具体的な対策がなかなかないのです』
・『衰退期にある会社には、有能な人材の不足や新商品の開発力低下が見られます』
・『組織が衰退する運命を避けるために何をすれば良いのかを考え続けています』
「衰退」の類語
「衰退」の類語には、以下のような言葉があります。
「衰微(すいび)」……物事・集団のそれまでの勢いが失われて衰え弱ること。
「凋落(ちょうらく)」……人・集団・物事などが衰えたり落ちぶれたりすること。
「斜陽(しゃよう)」……物事・人生のピークに達した後に見られる下り坂・下落の傾向。
「衰退」の対義語
「衰退」の対義語には、以下のような言葉があります。
「発展(はってん)」……物事・集団の勢い・活力がさらに伸び広がり盛んになるさま。
「成長(せいちょう)」……物事や事業の規模が拡大すること。
動植物などの生き物が大きくなること。
「繁栄(はんえい)」……国家・企業・組織・一族などが勢いを強めて、にぎわって栄えるさま。
まとめ
「衰弱」と「衰退」の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「衰弱」と「衰退」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時には、この記事の内容をチェックしてみてください。