後見人制度で目にする「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」ですが、どのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、「成年後見人」と「保佐人」と「補助人」の意味や違いについて分かりやすく説明していきます。
「成年後見人」と「保佐人」と「補助人」の違いとは?
日本には、知的・精神障害や認知症などにより、判断能力などが不十分な人に、保護者を付けて生活を援助する「成年後見制度」があります。
制度では、医師の診断書を基準に被保護人の判断能力を以下の3段階に区分けしています。
・「後見相当」:精神障害などにより、物事の判断能力を常に欠いている状態の人
・「保佐相当」:精神障害などにより、物事の判断能力が著しく不十分な状態の人
・「補助相当」:精神障害などにより、物事の判断能力が不十分な状態の人
そして、
・「後見相当」に該当する「成年被後見人」を援助する人=「成年後見人」
・「保佐相当」に該当する「被保佐人」を援助する人=「保佐人」
・「補助相当」に該当する「被補助人」を援助する人=「補助人」
となります。
「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」はいずれも、家庭裁判所への申し立て後、裁判官により選任されます。
「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」の権限の違い
「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」ではそれぞれ与えられている権限に違いがあります。
「成年後見人」に与えられる権限
「成年後見人」には、「成年被後見人」に代わり、日用品の購入など、日常に関する行為以外の契約の締結や解約、「成年被後見人」の意思表示の取り消しができる「代理権」が与えられています。
したがって、家庭裁判所の監督の下、「成年後見人」の名前やハンコで手続きが可能であり、「成年被後見人」からの委任状や同席は不要となります。
逆に、「成年被後見人」が行った日用品の購入など、日常に関する行為については、「成年後見人」による取り消しはできません。
「保佐人」に与えられる権限
「保佐人」は、「代理権」は与えられませんが、代わりに「民法13条で定められた9つの法律行為」について「同意権」が与えられています。
「同意権」では、「被保佐人」が重要な契約や手続きを行う際に、一緒に同意したり、「被保佐人」が「保佐人」の同意なしで行った契約や手続きなどを、「保佐人」が後から取り消すことが可能です。
申し立て後に追加で申請することにより、「代理権」が付与されます。
「補助人」に与えられる権限
「補助人」は、「民法13条で定められた9つの法律行為」のうち、「被補助人」が希望する一部についてのみ、「代理権」や「同意権」が与えられます。
まとめ
「成年後見人」と「保佐人」と「補助人」の違いとは、「後見人制度」において、判断能力の状態別に区分けされた被保護者を援助する保護者の名称です。
「後見相当」に該当する「成年被後見人」を援助する人が「成年後見人」
「保佐相当」に該当する「被保佐人」を援助する人が「保佐人」
「補助相当」に該当する「被補助人」を援助する人が「補助人」
となります。