この記事では、「有余」と「猶予」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「有余」と「猶予」の違い
「有余」と「猶予」はどちらも「ゆうよ」と読む同音異義語ですが、「有余」という言葉は「余りがあること・余分があるさま」や「数を表す言葉の後ろに付いて、それより少し多いこと」を意味しています。
「有余」に対して「猶予」の表現は、「引き延ばしてすぐに実行しないこと」や「実行する日時を延長すること」を意味しているという違いを指摘できます。
「有余」と「猶予」の使い方の違い
「有余」と「猶予」の使い方の違いは、「有余」は「余りや余分があること・数の後に続けてそれ以上であること」を意味して使われますが、「猶予」のほうは「引き伸ばしてすぐに実行・決断しないこと(日時を引き延ばすこと)」を意味して使われる違いがあります。
例えば、「手持ち資金の有余がありません」の「有余」は「猶予」に言い換えることはできず、「これ以上の猶予期間はないのです」の「猶予」は「有余」に言い換えられないといった使い方の違いを指摘できます。
「有余」と「猶予」の英語表記の違い
「有余」を英語で表記すると以下のようになります。
“surplus”“extra”(余りがあること・余分があること・有余)
“more than~”(~以上・~より少し多い・~有余)
「有余」に対して「猶予」という言葉を英語で表記すると以下のようになります。
“hesitation”(ぐずぐずして引き延ばすこと・猶予)
“delay”“postponement”(引き延ばして遅らせること・延期すること・猶予)
“grace”(支払いなどの猶予)
このように、「有余」の英語表記は“surplus”などであり、「猶予」の英語表記は“delay”などであるという違いがあります。
「有余」の意味
「有余(ゆうよ)」という言葉は、「余りがあること・余分があること」を意味しています。
「有余」には、「数・月日を表す言葉の後ろに付いて、それより少し多い(長い)こと」といった意味合いもあります。
「有余」の使い方
「有余」という言葉は、「余りがあるさま・余分があること」や「数字・月日を表す言葉の後につけて、それより少し多い(長い)こと」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「時間の有余がないので焦りました」や「二年有余は日本を出ていました」といった文章で使用できます。
「有余」を使った例文
・『業績の評価で給料が3割は上がったので、最近はお金に有余があります』
・『スケジュール管理をして、時間の有余をつくっています』
・『当社には不採算部門を維持するだけの財政的有余がありません』
・『十年有余にわたって、親しい友人知人が私を支えてくれました』
・『五年有余にわたる修行の日々が、私の職人としての技術の基礎をつくりあげたのです』
「有余」の類語
「有余」の類語には、「余り・余分・余剰・余計・以上・やや多い・やや長い」などがあります。
「有余」とは、「余り・余分があること」や「余っていて余剰があるさま」、「余計な分があること」を意味しています。
「有余」の表現は数字の後につけて、「それよりやや多いこと・やや長いこと」の意味合いも持っています。
それらの意味から、「有余」と類似した意味を持つ類語として、「余り・余分・余剰・余計・以上・やや多い・やや長い」を挙げることができます。
「有余」の対義語
「有余」の国語辞典などに記載されている対義語はありませんが、その意味から「余っていない・余分はない・余裕がない・以下」などが挙げられます。
「有余」の表現は、「余りがあること・余分があること・余っていてい余裕があるさま・数字の後につけてそれ以上であること」を意味しています。
それと反対の意味を持つ言葉として、「余っていない・余分はない・余裕がない・以下」を考えることができます。
「猶予」の意味
「猶予(ゆうよ)」とは、「ぐずぐずと引き伸ばしてすぐに実行・決断しないこと」や「物事を実行する日時を引き延ばすこと(実行日時を延長すること)」を意味している言葉です。
「猶予」の表現には「執行猶予・返済猶予」のように、「実行しなければならないことを引き延ばして延長する」といった意味のニュアンスがあります。
「猶予」の使い方
「猶予」の使い方は、「物事を引き延ばして実行・決断をしない場合」や「実行する日時を延長する場合」に使うという使い方になります。
例えば、「重症なので治療に一刻の猶予もありません」や「支払いまでの猶予期間は1ヶ月になります」といった文章で使用することができます。
「猶予」を使った例文
・『その仕事をやるかやらないかの決断を猶予している状況ではありません』
・『大統領としてすぐにでも意思決定しなければならない、一刻の猶予も許されない情勢でした』
・『あんな悪質で非道な犯罪に対して、執行猶予つきの判決が出たことに納得できません』
・『税金の支払いが一時的に猶予されたとしても、税金が免除されたわけではありません』
・『今すぐに借金を返済するのは難しいだろうということで、半年の猶予期間を与えました』
「猶予」の類語
「猶予」の類語には、「引き延ばし・延長・躊躇(ちゅうちょ)・ためらい・逡巡(しゅんじゅん)」などがあります。
「猶予」とは「物事の実行を引き延ばして延長すること」や「すぐに決断せずに躊躇すること・ためらうこと」、「すぐに決定できずに迷って逡巡するさま」を意味しています。
これらの意味から、「猶予」と類似した意味を持つ類語として、「引き延ばし・延長・躊躇・ためらい・逡巡」を挙げられます。
「猶予」の対義語
「猶予」の対義語には、「即決・即断即決(そくだんそっけつ)・即時実行・即時決断」などがあります。
「即決」とは「ためらわず、すぐに決断すること」、「即断即決」とは「その場ですぐに決断すること」、「即時実行・即時決断」も同じく「その場ですぐに(一切のためらいがなく)実行・決断すること」を意味している言葉です。
それらの意味から、「猶予」と反対の意味を持つ対義語として、「即決・即断即決・即時実行・即時決断」を想定することができるのです。
まとめ
「有余」と「猶予」の違いを説明しましたが、いかがだったでしょうか? 「有余」と「猶予」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事をチェックしてみてください。