この記事では、「恨む」と「怨む」と「憾む」の違いを分かりやすく説明していきます。
「恨む」とは?
「恨む」【うらむ】とは、自分に不利益を及ぼした人や事象に対し、心の中に不満や残念な気持ちを持ち続けることです。
「恨」という漢字の成り立ちを見てみると、感情を表す「りっしんべん」と、とどまることを意味する「艮」で構成され、心の中に長くとどまる思いを表していることが分かります。
「恨む」とは、人や世の中に対し、不当な扱いを受けたこと、思うようにならないことの不満、悲しみ、怒りなどを持ち続ける心中を表します。
「恨む」の例文
・『いくら働いても生活が楽にならず、不況の世の中を恨む』
・『彼は人柄が良く、決して他人から恨まれるような人物ではない』
「怨む」とは?
「怨む」【うらむ】とは、自分に不利益を及ぼした相手に対し、心の中に強い不満や憎しみの気持ちを持ち続けることです。
「怨」という漢字の成り立ちを見てみると、「心」の上に月とひざまずく人の姿を組み合わせた文字になっており、不満や憎しみの気持ちを抱える人が神に祈る様子を表しています。
「怨む」は、自分にひどい仕打ちをした相手に対し、あだに思う、憎悪の気持ちを持ち続けることを指しています。
漢字の「怨」を使った熟語には、かたきに強いうらみを持ち続けることを意味する「怨念」や霊になっても相手に強いうらみを持ち続ける「怨霊」があります。
これらの熟語が持つニュアンスからも、「怨む」とは、強い憎しみをこめた重い感情であることがうかがえます。
「怨む」の例文
・『自分をクビにした社長のことは、いくら怨んでも気持ちがおさまらない』
・『事件の加害者を一生怨み続ける』
「憾む」とは
「憾む」【うらむ】とは、思い通りにならず残念に思うことです。
漢字の「憾」の成り立ちを見てみると、りっしんべんと感情が強く揺れ動くことを意味する「感」で構成され、残念、くやしいという負の感情が強くはたらくことを表しています。
「憾む」は、自身に対して向けられる感情です。
自分のしたことに対し、望み通りの結果が得られなかったくやしさや無念さを表すときに使われます。
「憾む」の例文
・『勉強不足のせいで試験に落ちたことが憾まれる』
・『人の気持ちを傷つけてしまう未熟な自分を憾む』
「恨む」と「怨む」と「憾む」の違い
「恨む」「怨む」「憾む」は、共に「うらむ」と読み、望み通りにならないことに対して不満や残念な気持ちを持ち続けることを表します。
違いを比べてみると、まず「恨む」「怨む」と「憾む」では感情を向ける対象が異なります。
「恨む」「怨む」は自分に不利益をもたらした相手や事象に対する不満、怒り、悲しみです。
「憾む」は自分に向けられたくやしさ、無念であり、その点が「恨む」「怨む」と異なります。
「恨む」と「怨む」が示す感情はよく似ています。
しかし「恨む」に比べると「怨む」のほうがうらみが強く、相手への憎悪や不快感がより長く続く、といった違いがみられます。
「うらむ」の表記で一般的に使われているのは「恨む」です。
「怨む」「憾む」のかわりに「恨む」と表記しても意味は通じますが、細かいニュアンスを表現するなら、状況に応じて三者を使い分けるのがよいでしょう。
まとめ
「うらむ」と読める「恨む」「怨む」「憾む」は、ほぼ同じ意味合いを持っていますが、微妙にニュアンスが異なります。
「憾む」は読み方を知らない人が多いので、状況にあわせてほかの表記を使ってもよいでしょう。