この記事では、「洒落本」と「黄表紙」の違いを分かりやすく説明していきます。
「洒落本」とは?
「洒落本」とは戯作小説のジャンルの1つで、江戸時代の中期に流行しました。
遊里を舞台にしており、遊女と客の会話や駆け引きを滑稽に描いています。
遊里を中心に生まれた「通(つう)」や「粋(いき)」といった美意識を野暮と対比し、面白おかしく描いた小説です。
蒟蒻本や小本と呼ばれることもあります。
蒟蒻本という呼び名は、その大きさが蒟蒻と同じくらいだったからです。
「洒落本」の代表的な作者には、山東京伝や田螺金魚などがいます。
「黄表紙」とは?
「黄表紙」とは草双紙という絵が入った短編小説の一種で、江戸時代の後期に流行しました。
現代でいう漫画のようなもので、黄色い表紙になっていることから「黄表紙」と呼ばれるようになったのです。
それまでは草双紙は子ども向けの読み物でしたが、「黄表紙」は知識のある大人向けの読み物として人気を集めます。
遊里の風俗や客を描き、洒落や滑稽を織り交ぜた写実性のあるものでした。
「黄表紙」というジャンルを開拓したのは恋川春町で、「金々先生栄花夢」という作品が最初とされます。
「洒落本」と「黄表紙」の違い
「洒落本」も「黄表紙」も江戸時代に流行した読み物です。
どちらも松平定信が行った寛政の改革によって、出版が制限されるようになりました。
「洒落本」は遊里での遊女と客のやり取りを会話を中心に面白く描いています。
それに対して「黄表紙」は絵が入った短編小説になっていて、洒落や滑稽を織り交ぜてあります。
表紙が黄色になっているのが「黄表紙」で、「洒落本」には普通の表紙が使われていました。
まとめ
「洒落本」も「黄表紙」も江戸時代に流行した読み物です。
「洒落本」も「黄表紙」の違いは、絵が入っているかどうかにあります。
「洒落本」は戯作小説の1つで、絵は入っていません。
会話を中心に遊里を描いています。
「黄表紙」は絵が入っていて、今でいう漫画のような読み物です。