「慇懃無礼」と「おためごかし」はいずれも人の振る舞いに関する言葉ですが、細かな意味合いが異なるため区別して認識しておく必要があります。
この記事では、「慇懃無礼」と「おためごかし」の違いを分かりやすく説明していきます。
「慇懃無礼」とは?
「慇懃無礼」は「いんぎんぶれい」と読む言葉で、「表面的には礼儀正しく振る舞っているように見えるが、実際は尊大で無礼な様子」を意味します。
また、「言葉遣いや態度が丁寧過ぎてかえって失礼である様子」という意味も持ち合わせています。
「おためごかし」とは?
「おためごかし」は「相手のために何かをおこなうように見せかけて、実は自分の利益を得ようとしていること」を意味する言葉です。
「御為倒」もしくは「御為ごかし」と記されることもあり、「御為」は「相手を敬うこと」を示し、「ごかし」は「自分が得するための口実を作ること」を示します。
「慇懃無礼」と「おためごかし」の違い
次に、「慇懃無礼」と「おためごかし」の違いを分かりやすく解説します。
「慇懃無礼」は「表面的には礼儀正しく振る舞っているように見えるが、実際は尊大で無礼な様子」または「言葉遣いや態度が不自然なほど丁寧過ぎて、かえって失礼である様子」を意味します。
一方、「おためごかし」は、「相手のために何かをすると見せかけて、実は自分の利益のみを得ようとしていること」を意味します。
「慇懃無礼」も「おためごかし」も、どちらかというとネガティブな意味合いで使用されています。
「慇懃無礼」の例文
「慇懃無礼」は、表面的には礼儀正しく振る舞っているものの実際は尊大で相手を見下している人、もしくはそのような態度に対して使用されます。
また、言葉遣いや態度が極端に丁寧で、かえって相手を小馬鹿にしているように見える人や態度に対しても用いられます。
・『店員の慇懃無礼な態度に腹が立った』
・『二重敬語は相手に慇懃無礼な印象を与える』
「おためごかし」の例文
「おためごかし」は、相手のために動いていると見せかけて、実際は自分の利益のみを得ようとしている人、またはそのような行為に対して使われます。
・『彼は人の世話を焼くのが好きだが、そのほとんどがおためごかしである』
・『彼女はおためごかしで人を説得する癖がある』
まとめ
「慇懃無礼」と「おためごかし」は細かなニュアンスの違いはあるものの、どちらもネガティブな意味合いで使用されます。
できればあまり使いたくない言葉ですが、使用の際は双方を適切に使い分けることがポイントです。
ぜひ言葉の知識を深める参考にしてください。