昭和の時代のビジネスのなかでは、挨拶状というものが大きな意味をもっていましたが、いまではeメールなどに移行し、多くの人は手紙の決まりなども分からなくなっています。
そのような手紙の決まりの中で、よくわからないのは初めの言葉と結びの言葉です。
昭和の人でもわからないような始めの言葉が「冠省」というものでしょう。
それでは、この「冠省」とはどういう意味でしょうか。
また、「前略」とは、どう違うのでしょうか。
この記事では、「冠省」と「前略」の違いを分かりやすく説明していきます。
「冠省」とは?
「冠省」とは、「かんしょう」と読み、「冠を省く」という意味で使われる言葉です。
このときの「冠」とは、手紙などにおける時候の挨拶のことです。
したがって、「冠省」を手紙の最初に置くことによって、本来は記載すべきこまかい挨拶の言葉を書かないということになります。
対応する結びの言葉は「早々」や「かしこ」になります。
「前略」とは?
「前略」とは、「ぜんりゃく」と読み、「全文を省く」という意味で使われる言葉です。
このんときの「前文」とは、一般的な時候の挨拶のことです。
したがって、「前略」を手紙の最初に置くことによって、本来は記載すべきこまかい挨拶の言葉を書かないということになります。
対応する結びの言葉は「早々」や「かしこ」になります。
「冠省」と「前略」の違い
「冠省」と「前略」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは、結論から言えば、まったく同じ意味であり、使われるシチュエーションもまったく同じであると言ってよいでしょう。
したがって、もし、また手紙を書くような機会が訪れたとしてもどちらを使っても問題ありません。
むしろ、問題になりそうなのはこれらを使うことです。
そもそも、これらの言葉は、本来あるべき時候の挨拶などを省略したものに使われるので、省略すべきではない相手や、状況においては使うべきではないということになります。
「冠省」の例文
・『冠省、早々の順です』
・『冠省はほとんどつかわれなくなった言葉です』
「前略」の例文
・『前略の場合は早々で締めます』
・『前略といえば全文を省略することです』
まとめ
この記事では、「冠省」と「前略」の違いを、解説してきました。
序文でも述べたように、これらの言葉は私たちの身近にあります。
この機会にこれらの正しい使い方を勉強しておきましょう。