明治時代に書かれた小説や随筆などを原文で見る機会があると、そこに使われている表現や、特に使われている漢字が古いものであることに気が付きます。
例えば、戦乱の世の中に、敵兵を前位にして城の「防禦」を固めるというような表現があります。
それでは、この「防禦」とはどういう意味でしょうか。
また、「防御」とは、どう違うのでしょうか。
この記事では、「防禦」と「防御」の違いを分かりやすく説明していきます。
「防禦」とは?
「防禦」とは、「ぼうぎょ」と読み、何かから守るという意味で使われる言葉です。
もともと「禦」という文字には「ふせぐ」という意味があるので、「防」と合わせて強調したものでしょう。
「防御」とは?
「防御」とは、「ぼうぎょ」と読み、何かから守るという意味で使われる言葉です。
もともと「御」には「コントロールする」という意味があるので、「防御」の本質とは違っていますが、おそらく前述の「禦」の代替として使われたのでしょう。
「防禦」と「防御」の違い
「防禦」と「防御」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは、「ぼうぎょ」と読んで、「守ること」を表すという部分では同じですが、どこに違いがあるのでしょうか。
この2つの違いを最も簡単に説明するなら、意味は全く同じですが、「防禦」の方は今ではほぼ使われていないというだけの違いです。
もともと明治時代の文献にはほぼ「防禦」という文字が使われていましたが、その後同じ音である簡潔な文字の「防御」が多数派に転じたということがあるので、殊更に意味の違いに関して言及されたことはほとんどありません。
「防禦」の例文
・『急いで城の防禦を固めるように各部隊に指示を出した』
・『防禦のやり方は、昔からのものが基本になっています』
「防御」の例文
・『攻撃は最大の防御であるという慣用句もあります』
・『矛盾というのは攻撃と防御がお互いに最高であるという主張をすることです』
まとめ
この記事では、「防禦」と「防御」の違いを、解説してきました。
序文でも述べたように、これらの言葉は私たちの身近にあります。
この機会にこれらの正しい使い方を勉強しておきましょう。