この記事では、「失踪」と「蒸発」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「失踪」と「蒸発」の違い
「失踪」と「蒸発」はどちらも「事件・事故ではなく、人が突然今までの生活環境からいなくなること」を意味していますが、「失踪」は「行方をくらませた理由・動機が不明であっても、家族・恋人・友人・同僚など近しい人にはある程度理由が推測できる状態」を意味しています。
「失踪」に対して「蒸発」のほうは、「どこに行ったのか分からず、なぜいなくなったのかの理由・動機も全く不明な状態」を意味していて、「蒸発」には「家族・恋人・友人・同僚にも、その人がいなくなった理由が全く分からない」という違いがあります。
「失踪」と「蒸発」の使い方の違い
「失踪」と「蒸発」の使い方の違いは、「失踪」は「家族・恋人・同僚などの近しい人であればある程度理由が推測できる行方不明の状態」を意味して使われますが、「蒸発」のほうは「家族・恋人・同僚などの近しい人でも全く理由が分からない行方不明の状態」を意味して使われる違いがあります。
例えば、「彼が突然蒸発してしまいました」のほうが「失踪しました」よりも、「いなくなった彼の理由・動機が全く推測できない状態である」といった意味のニュアンスが強くなります。
「失踪」と「蒸発」の英語表記の違い
「失踪」を英語で表記すると、以下のようになります。
“disappearance”(見えなくなること・消失すること・失踪)
“abscondence”(逃亡・失踪)
「失踪」に対して「蒸発」を英語で表記すると、以下のようになります。
“missing persons”(人がいなくなること・蒸発)
“evaporation”(水分が蒸発すること・蒸発)
上記のように、「失踪」の英語表記は“disappearance”などで、「蒸発」の英語表記は“evaporation”などであるという違いを指摘することができますが、英語では「失踪」と「蒸発」に明確な区別はありません。
「失踪」の意味
「失踪(しっそう)」という言葉は、「人が自発的に行方をくらまして、それまでの生活圏からいなくなること」を意味しています。
「失踪」の表現には、「家族・恋人・友人・同僚などの近しい人であれば、その人がいなくなった理由・動機をある程度推測できる」といった意味のニュアンスがあります。
「失踪」の使い方
「失踪」という言葉は、「人が突然行方をくらましていなくなること・その人に近しい人であればある程度理由が推測できる行方不明」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「有名人との婚約が破談になった女性が失踪しました」などの文章で使えます。
「失踪」を使った例文
・『多重債務を抱えていた知人が失踪しました』
・『家族が行方不明になったので、失踪届を警察に出しました』
・『彼女が失踪した理由に、いくつか心当たりがありました』
・『人生がどうにも行き詰まってしまって、失踪しようかどうか迷っていました』
・『後に残された人に迷惑がかからないような失踪は、なかなか出来ないものです』
「失踪」の類語
「失踪」の類語には、「家出・夜逃げ・駆け落ち」などがあります。
「家出」とは「主に未成年者・被扶養者がそれまで住んでいた家を何らかの理由で出て行くこと」、「夜逃げ」とは「夜の時間帯に、借金などの理由でそれまでの生活圏から逃げ出すこと」を意味しています。
「駆け落ち」というのは、「親から結婚・同棲などを認めてもらえない男女がどこか知らない土地に逃げること」を意味する言葉です。
その意味から、「失踪」と類似の意味を持つ類語として、「家出・夜逃げ・駆け落ち」が挙げられます。
「失踪」の対義語
「失踪」の対義語には、「発見・出現」があります。
国語辞典などに掲載される「失踪」の対義語はありませんが、「失踪」は「人がそれまでの生活圏からいなくなること・見えなくなること」を意味しているので、それと反対の意味を持つ言葉は「行方をくらませていた人が見つかることを示す発見」や「いなくなっていた人が姿を見せることを示す出現」になります。
その意味から、「失踪」と反対の意味を持つ対義語として、「発見・出現」を挙げることができます。
「蒸発」の意味
「蒸発」という言葉は、「人が自発的に行方をくらまして、それまで生活していた場所からいなくなること」を意味しています。
「蒸発」の表現には、「家族・恋人・友人・同僚などの近しい人であっても、その人がいなくなった理由・動機が全く分からない」といった意味のニュアンスがあります。
「蒸発」の使い方
「蒸発」の使い方は、「理由・動機が全く分からない状態で、ある人が突然今までの生活環境からいなくなること」を意味して使うという使い方になります。
例えば、「田舎から上京した翌年に、彼はいつの間にか蒸発しました」などの文章で使うことができます。
「蒸発」を使った例文
・『彼女が蒸発してから、僕の心にはぽっかりと穴が空いていました』
・『家族が蒸発したと訴えても、警察はまったく捜査をしてくれませんでした』
・『蒸発した理由が分からないというのが、家族にとっては一番つらいのです』
・『あの日蒸発した親友は、今どこで何をしているのだろうかと思いを巡らせています』
・『愛していた彼と別れた時に、私は蒸発して新たな場所で人生をやり直そうと考えたのです』
「蒸発」の類語
「蒸発」の類語には、「行方不明・神隠し・いなくなる・気化」などがあります。
「蒸発」とは、「理由や動機が分からない状態で、今までの生活圏からいなくなって行方不明になること」を意味しています。
「神隠し」は「突然人の姿が見えなくなること・常識では説明がつかない状態で人がいなくなること」、「気化」は「液体が沸点に達して気体になること」を意味する言葉です。
そのことから、「蒸発」と類似の意味を持つ類語として、「行方不明・神隠し・いなくなる・気化」が挙げられます。
「蒸発」の対義語
「蒸発」の対義語には、「凝結(ぎょうけつ)・凝固(ぎょうこ)」などがあります。
人がいなくなることを示す「蒸発」の対義語は、「失踪」と同じく「発見・出現」になります。
ただし液体が気体になることを意味する「蒸発」の対義語は、「気体が液体になることを示す凝結」や「液体が固体になることを示す凝固」になります。
そのことから、「蒸発」と反対の意味を持つ対義語として、「凝結・凝固」を挙げることができます。
まとめ
「失踪」と「蒸発」の違いを説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「失踪」と「蒸発」の意味・使い方・英語の違いや類語・対義語を詳しく調べたい時は、この記事をチェックしてみてください。