100年のロングセラー鮭缶に使われていたのは鮭ではなかった!?
この記事では、「鮭」と「カラフトマス」の違いを分かりやすく説明していきます。
「鮭」とは?
一般的に私達がサケと認識しているのは「シロザケ」であり、サケ科サケ属の魚になります。
一般的に産卵期になると故郷の川に帰ってきて遡上する事はあまりに有名。
サケの仲間では海に降らない種以外では至極当然の行為ですが、日本でイメージされるサケの川上りは同種を指す事がほとんどであると言えるでしょう。
また遡上の時期が秋であり、昔から秋鮭として呼ばれてきたのは言うまでもありません。
「カラフトマス」とは?
鮭いわゆる「シロザケ」とは近縁種であり、日本近海で独自の進化を遂げた種である事が近年明らかになりました。
それも「シロザケ」と並んで種として最も新しく進化を遂げた魚になります。
日本人の食卓には実は欠かせない魚であり、東京都江東区に本社を構える『マルハニチロ』社の「あけぼの さけ」缶詰は旧ニチロ社時代からのロングセラーであり、既に発売から100年以上を経過。
その身に脂質が多く傷みやすいため、冷蔵、冷凍技術が発展していなかった時代には評価が低い食用魚でした。
1980年代に入り再評価され、脂質があり柔らかい身は多数の加工品になっています。
代表的なものとしては持ち帰り弁当や駅弁、コンビニ弁当の焼き鮭だと言えるでしょう。
「鮭」と「カラフトマス」の違い
「鮭」と「カラフトマス」の違いを、分かりやすく解説します。
日本近海で進化を遂げた種であるのは共通ですが、違いは多々存在。
特に後者は2年ちょうどで夏に生まれ故郷に帰ってくるのは有名な話です。
そのため戦前から漁獲量が多く保存品として加工される事の多い魚でした。
また遡上するのも北海道に限られるのが「鮭」との違いだと言っていいでしょう。
前者は秋鮭として秋から冬に遡上する事で有名ですが、海洋生活が個体によってマチマチ。
1年早々で生まれ故郷に帰ってくるものもいれば海で5〜6年過ごす個体もいます。
この他にも生態に関していえば産卵期の床の好みや幼生の行動の違いも挙げる事ができるでしょう。
食用としては「カラフトマス」より脂が少ないため食べやすいのが特徴ながらも、近年では生食で食べれるノルウェー産のタイセイヨウザケや回転寿司などのチリ産のニジマスやギンザケに押され気味。
戦後にマグロのトロの人気が高騰したのは言うまでもない事実。
同様に戦後の日本人の食生活の変化により脂の多い「カラフトマス」が好まれる様になってきました。
まとめ
「鮭」は広義的には太平洋サケに分類される品種を含む場合もありますが、種としては「シロザケ」を指したものです。
一方「カラフトマス」は近縁種ですが、 生態の違いが多く知られています。
2年きっかりに海洋生活を終えて、生まれ故郷の北海道の川を遡上。
それに対して「シロザケ」は海洋生活が個体によりマチマチだと言っていいでしょう。
1〜6年を経て故郷の川を遡上。
範囲は広く太平洋側では千葉県銚子、日本海側では島根県までと広いのも特徴です。