「版籍奉還」と「廃藩置県」はどのような出来事で何が違うのでしょうか。
今回は、「版籍奉還」と「廃藩置県」の違いを解説します。
「版籍奉還」とは?
「版籍奉還」とは、「全国の藩が所有していた土地と領民の権利を明治天皇に返還した出来事」を指す言葉です。
「版籍奉還」の使い方
江戸時代の日本は全国各地に置かれた藩を江戸幕府が支配する幕藩体制で運営されていました。
幕藩体制では頂点に江戸幕府がいるものの各地の土地と領民を直接支配しているのは藩であり、藩を統治する大名には独立した支配権が認められていました。
藩の領地や領民は大名のものであり基本的に江戸幕府は手出しできません。
江戸幕府の所有地は「天領」と呼ばれ各藩の領地とは明確に区別されています。
明治時代に入り江戸幕府の支配体制が崩壊すると藩の統治権も見直されることになります。
各藩が統治権を放棄し土地と人民を日本のトップである天皇に返還した出来事が「版籍奉還」です。
「廃藩置県」とは?
「廃藩置県」とは、「藩を廃止し県を設置した明治政府の政治改革」を指す言葉です。
「廃藩置県」の使い方
江戸時代まで各地に置かれた藩を配置し、新たな行政区分として県を設置した明治政府の政治改革を指します。
県のトップはそれまでのように独立した統治者ではなく明治政府の役人が県知事として配置されました。
「版籍奉還」と「廃藩置県」の違い
「版籍奉還」は藩が所有していた土地と人民を天皇に返還した出来事を指し「廃藩置県」は天皇に返還された藩という枠組みを廃止して新たに県を設置した出来事を指します。
1869年の「版籍奉還」によりそれまで大名が支配していた土地と人民が明治政府の管理下に置かれますが、この段階ではまだ藩は残されたままでかつての大名たちが「知藩事」という明治政府の役人に任じられて治めていました。
返還された土地と人民を整理して新たな枠組みを作り、旧大名達を排して新たに県知事を送り込み県を設置した1871年の出来事が「廃藩置県」です。
まとめ
「版籍奉還」と「廃藩置県」は藩から県へという一連の流れの中で起きた出来事ですがそれぞれ個別に行われた別の出来事です。
体制移行の流れ全体を正しく理解しておきましょう。