「御家人」と「武士」にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「御家人」と「武士」の違いを解説します。
「御家人」とは?
「御家人」とは、「徳川幕府の直参のうち御目見以下の者」を指す言葉です。
「御家人」の使い方
江戸時代の将軍家に直接使える武士のことを「直参」といいます。
直参の身分は将軍の顔を拝謁する「御目見」ができるかどうかで大きく分かれます。
将軍の前に出て拝謁できる上級の家臣を「旗本」と呼ぶのに対し、将軍の前に出ることが認められずお目見えがかなわない下級の家臣が「御家人」です。
本来は武家の頭領である将軍に直接使える家臣を意味する言葉で鎌倉時代は将軍と主従関係を結んだ家臣を表す言葉でしたが、徳川幕府ではより厳密な定義により下級の家臣のみを出す言葉として用いています。
袴の着用が許されず屋敷も狭いなど旗本と比べて扱いは下ですが禄高に関する規定はなく旗本よりも高い禄高を得ていた者もいます。
「武士」とは?
「武士」とは、「戦闘をなりわいにする人」を指す言葉です。
「武士」の使い方
戦うことで金を稼ぎ生きていく戦闘のプロフェッショナルを意味します。
中世以降は武力を認められて主君に使える戦闘員を指す言葉として使われますが主君を持たない在野の野武士も「武士」の一種です。
「御家人」と「武士」の違い
「御家人」と「武士」の違いは「身分」です。
「御家人」は将軍に直接使えている直参としての身分を表す言葉なのに対し「武士」は戦うことを生業とする職業や生き方を表しています。
中世以降の日本では武力を頼りに主君に使える家臣がすべてだったため家臣として徳川家に仕える「御家人」はすべて「武士」です。
「御家人」の例文
・『御家人の暮らしは貧しい』
・『御家人は袴を履いてはいけない』
「武士」の例文
・『武士らしく生きる』
・『刀は武士の魂だ』
まとめ
「御家人」と「武士」では表している意味が全く異なります。
それぞれの言葉の意味を正しく理解し区別してください。