加賀の国が誇る三大漆器とは?
この記事では、「輪島塗」と「山中塗」の違いを分かりやすく説明していきます。
「輪島塗」とは?
石川県輪島市で作られる漆器の総称です。
石川県の三大漆器の1つであるとともにそのブランド性は高く、全国一の知名度を誇ります。
室町時代には既に漆器生産が行われており、当時のものが残されていました。
美術性と耐久性の高さはよく知られています。
前者に関しては漆を塗るまでの下工程で20を越える過程を踏む必要があります。
その美しさは下準備の細心さからだと言って過言ではありません。
後者に関してはダイアトマイトを蒸し焼きにして生成した“地の粉”を漆に混ぜて使用する工夫が生んだものだと言っていいでしょう。
これを使用する事で漆を木地に吸着させて「輪島塗」ならではの丈夫さを生み出しました。
「山中塗」とは?
石川県加賀市、現在の山中温泉郷地域で生産された漆器を指します。
同温泉は奈良時代に開湯された歴史があります。
山中塗が記録に残されているの湯治客の土産品としてでした。
室町時代の「輪島塗」には及ばないもの、既に安土桃山時代には知られた存在だった事が窺えます。
その特徴は木地の山中と呼ばれるほどで、ろくろを回しながら加工する技術に長けた木地師が多く存在。
昔から挽物木地では他の追随を許さぬ生産量を誇っていました。
「輪島塗」と「山中塗」の違い
「輪島塗」と「山中塗」の違いを、分かりやすく解説します。
「輪島塗」は“塗りの輪島”と表現されるほどに美術性と耐久性を地の粉を使った漆を塗布する事で実現しました。
対する「山中塗」は“木地の山中”と呼ばれています。
美術性は加飾挽き、耐久性は縦木取りを採用する事で特徴を打ち出したと言えるでしょう。
木目模様を生かした自然美が感じられるのも「山中塗」ならではと言っていいはずです。
まとめ
「輪島塗」は“塗りの輪島”と呼ばれ、古くから漆にひと手間加える事で高い美術性と耐久性を共栄させてきたと言えるでしょう。
それに対して「山中塗」は木地の山中と呼ばれ、その歴史を築きあげてきました。
縦木取りを取り入れる事で自然な外観と耐久性、加飾挽きによって自然美を感じさせる美術性を実現したと言っていいでしょう。
両者ともに石川県はおろか全国三大漆器としても名があがります。
しかし技法に共通項は少なく、互いに全く違ったアプローチでブランドを築き上げたと言っていいでしょう。