この記事では、「発散」と「解消」の違いや使い方を分かりやすく説明していきます。
「発散」と「解消」の違い
「発散」とは、内側にとどまっていたものが、外側に向かってバラバラになって出ていくことです。
また、外側に出すことです。
「解消」とは、これまでの状態・関係・約束などが、有る状態から無い状態になることです。
また、それらを無い状態にすることです。
「ストレスを発散する」「ストレスを解消する」のように、同じような使われ方をするので意味が似ているように感じますが、同じ意味なのではありません。
「発散」の場合は、内側から外側に出す、または出ていくことを指しています。
ストレスの場合だと、自分の内側にあったイライラを外側に散らすようなイメージです。
運動をする、大声で歌う、ボクシングのような殴る動作をする、気持ちを紙に書くなどは、内側にたまっていたものを外側に出す方法です。
「解消」の場合は消えています。
ストレスの場合だと、イライラなどたまっていたものがなくなることを意味しています。
ストレスを消す方法は、人によって適したものが違いますが、たとえば、好きな音楽を聞く、おいしいものを食べる、読書をする、入浴をする、好きな香りを嗅ぐなどによって、イライラが消えていきます。
これらはイライラを外に散らす方法ではなく、消す方法です。
ストレスの場合だと、「発散」でも「解消」でも消すことができますが、「発散」では消えない物事もあります。
たとえば臭気です。
クサヤやドリアンなどは、鼻が曲がるほどの悪臭だといわれています。
これらは、物質からにおいが外側に出されています。
これを「発散」といいます。
いくらにおいが「発散」されても、物質が持っているにおいは消えません。
つまり、「解消」は消えるのですが、「発散」は消えることもあれば消えないこともあるのです。
「発散」と「解消」の使い方の違い
前者の言葉は、内側にあるものが外側に散り散りに出ていくことに使用をします。
後者の言葉は、これまであった状態や約束などが、消えてなくなることに使用をします。
「発散」と「解消」の英語表記の違い
「発散」は英語で、ガスや蒸気などは“emission”や“dispersion”と表現をし、光線や熱は“radiation”と表現をします。
「解消」は英語で、約束がなくなる意味では“cancellation”と表現をします。
「発散」の意味
「発散」とは、内側にあったものが外側に向かって、ばらばらになって広がり出ること、またばらばらに広がり出すことです。
ストレスは目に見えないものですが、内側に何かがたまっているような感じがします。
内側にたまったままだと、イライラが常に続きます。
内側にたまっているものを出すことが「発散」です。
ストレスを外に出す方法には、大声で歌う、運動をする、気持ちを書きなぐる、人に話しを聞いてもらう、サウナで汗をかくなどがあります。
大声で歌うと、声とともにストレスも出ていくような感じがします。
サウナで汗をかくと、汗とともにストレスが出ていくような感じがします。
こういった、内側にあるものを外側に出すことを意味している言葉です。
内側にたまっているものを外側に出すと、たまっていたものがすっかりなくなってしまうそうですが、「発散」にはすっかりなくなるという意味は含まれていません。
魅力は外にだし続けてもなくなるものではありません。
「魅力を発散する」といった場合は、ある人から、人の心を引きつける力が出ているという意味になりますが、魅力は限りある物質ではないので、たくさん出してもなくなることはないのです。
臭気も外に出してもなくならないことがあります。
ドリアンは非常に臭い食べものとして有名で、そのにおいは野菜が腐ったようなにおい、涙が出るようなにおいなどとたとえられています。
テレビの罰ゲームで使われることもあるほどのひどいにおいです。
ドリアンはドリアン自身からにおいが「発散」されていますが、いくら「発散」してもにおいはなくなりません。
かなりの長期間放置しおけばにおいはなくなるかもしれませんが、においを「発散」させても簡単にはなくならないのです。
こういったことからもわかるように、「発散」にはなくなるという意味は含まれていません。
「発散」の使い方
内側にとどまっていたものが外側に散り散りに出ていくこと、また出すことに使用をします。
外に向かって、という意味が含まれています。
「発散」を使った例文
・『ボクシングをしてエネルギーを発散させる』
・『ガスを発散させる』
・『彼女からは魅力が発散されている』
・『この動物から悪臭が発散している』
「発散」の類語
「放散」が類語です。
外側へ散らすという意味があり、熱が外に出ることに使用をします。
「発散」の対義語
「蓄積」が対義語です。
「解消」の意味
「解消」とは、これまでの状態・約束・関係などが、有る状態から無い状態になること、また有る状態から無い状態にすることです。
夕方になると脚がパンパンにむくむことがあります。
座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事をしていると、脚がパンパンになりやすいです。
むくみを放置していると見た目が気になるので、むくんだ状態をなくしたいところです。
そのための方法の一つにマッサージがあります。
マッサージをすると、パンパンだった脚が、すっきりした状態に近づきます。
これは、体内にたまっていた老廃物が流され、むくみという状態が消えてなくなったために起こる現象です。
こういった、すっかりなくなることを「解消」は意味しています。
「解消」の使い方
有るから無いになるという意味で使用をします。
ストレスがあった状態からない状態になる、不安があった状態からない状態になるなどをいいます。
「解消」を使った例文
・『頭痛が解消された』
・『ねじれを解消する』
・『便秘の解消方法』
・『梅雨に多い悩みの解消方法』
「解消」の類語
「撤廃」が類語です。
これまで行われてきた制度や法律を中止するという意味があります。
「解消」の対義語
「存在する」が対義語です。
まとめ
2つの言葉は同じような事柄に使用されるため、同じ意味を持っているように感じますが、それぞれの言葉が持つ意味は異なります。