住民が自治体をチェックするための仕組みとして「住民監査請求」と「事務監査請求」があります。
2つの請求にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「住民監査請求」と「事務監査請求」の違いを解説します。
「住民監査請求」とは?
「住民監査請求」とは、「地方公共団体において違法もしくは不当な財務処理が行われると認められる場合に住民からの請求に基づいて監査が行われる制度」を指す言葉です。
「住民監査請求」の使い方
地方公共団体の財務や会計をチェックするための制度で、地方自治法第242条に基づき住民が監査委員に対して必要な監査を求める仕組みを指します。
対象となるのは自治体の財務や会計など金銭処理に関する事項で監査対象となる地方自治体に居住する住民であれば1人でも請求可能です。
「事務監査請求」とは?
「事務監査請求」とは、「地方自治体の仕事全般において違法や不当な点が認められる場合に複数の住民からの請求に基づき監査が行われる制度」です。
「事務監査請求」の使い方
地方公共団体が行う事務執行全般を対象にした制度で、地方自治法第72条に基づき選挙権を有する者のうち50分の1以上の署名による請求で監査を請求できます。
「住民監査請求」と「事務監査請求」の違い
「住民監査請求」と「事務監査請求」の違いは「監査対象」と「請求に必要な人数」です。
「住民監査請求」は地方公共団体の財務会計が対象で1人からでも請求できるのに対し、「事務監査請求」は地方自治体の事務執行全般が対象で有権者のうち50分の1以上の署名が必要になるという違いがあります。
根拠となる法律も「住民監査請求」は地方自治法第242条で「事務監査請求」は根地方自治法第72条と異なります。
まとめ
「住民監査請求」と「事務監査請求」はどちらも自治体の活動を観察する制度ですが対象となる項目と手続きに必要な人数に違いがあります。
自治体に監査請求するなら目的に合わせてふさわしい制度で手続きしてください。