「敷金」と「礼金」の違いとは?使い方や例文も徹底的に解釈

「敷金」と「礼金」の違い専門用語・業界用語

賃貸物件を借りる時に、初期費用として「敷金」「礼金」が掛かってきます。

この二つは何が違うのでしょうか。

「敷金」「礼金」の違いや、使い方を分かりやすく説明していきます。

「敷金」と「礼金」の違い

どちらも賃貸物件を借りる時に掛かる初期費用の一部です。

「敷金」は、民法で定義が定められている担保金の性質があるお金です。

部屋を借りた人が、大家に「敷金」を預けておき、家賃を滞納したり、部屋を汚してしまったりしたときに、大家が「敷金」を使い補填します。

引越しをする際には、「敷金」は、補填した分を差し引き、戻ってきます。

「礼金」は、部屋を借りた人が大家に対してするお礼のお金です。

お礼金なので、引越しの際には戻りません。

違いは、担保としてのお金か、お礼なのかというところです。


「敷金」と「礼金」の使い方の違い

「敷金」「礼金」も家賃何ヶ月分という言い方で使います。

「礼金」には「お」をつけることもありますが、その場合は、賃貸契約の「礼金」とは異なり、感謝の気持ちを伝える金銭という意味で使うことが多くなります。


「敷金」と「礼金」の英語表記の違い

「敷金」は、英語では“deposit”になります。

「礼金」は、アメリカなどでは支払う習慣がありません。

“key money”(鍵代)や、“gratuity fee”(チップ)“gift”(贈り物)などになります。

「敷金」の意味

賃貸契約を結んだ時に、家賃滞納のときや、部屋の修繕費用などに充てるための金銭です。

借りている人が部屋を汚したり、損傷させたりした時のための担保として預かるお金になります。

民法では、「いかなる名目によるかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭」と、決められています。

「敷金」は担保としての性質があるため、家賃の滞納などがない場合には、基本的には戻ってくるお金です。

しかし、現状では全額戻ってくることはほとんどなく、引越しの際には、部屋を原状回復するための費用を差し引いた額を返されることが多くなります。

相場は、家賃の1~2ヶ月分くらいです。

「敷金」の使い方

一般的に、「敷金」何ヶ月分という言い方で使います。

家賃として支払う額の何ヶ月分という意味になります。

例えば、「敷金」1ヶ月とあり、賃料が1ヶ月あたり10万円なら、「敷金」も10万円ということです。

「敷金」を使った例文

・『敷金なし物件はお得だと感じますが、デメリットはありませんか』

・『敷金で賄えないほど、部屋の修繕費が掛かる』

・『家賃2ヶ月分の敷金を支払った』

・『敷金を払えないので、クレジットカード払いにしました』

・『敷金返還トラブルがこじれたので、弁護士に相談することにした』

「敷金」の類語

英語で保証金の意味がある「デポジット」や、金銭などを仮に納めるという意味の「仮納」【かのう】、一時的に金銭などを預けるという意味の「預託」【よたく】、「保証金」【ほしょうきん】などが類語にあたります。

「礼金」の意味

不動産の賃貸契約を結ぶときなどに、お礼として支払うお金になります。

なかなか賃貸契約を結べなかった時代に、大家に感謝の気持ちを込めて支払っていたものが、慣習として残っているといわれています。

相場はだいたい物件の一ヶ月の家賃と同じくらいです。

「礼金」の由来には諸説あり、関東大震災で家屋が倒壊したり焼失したりしたときに、物件が足りなくなり、大家にお金を包んだのが始まりだという説があります。

また、集団就職などで地方から東京に引越しをしてくる子どもの親が、頼るものがない子どもを心配して、何かあったらよろしくという気持ちを込め、大家に礼金を送ったという説もあります。

もともとは謝礼でしたが、今は物件の募集に礼金の額が明記されるようになっています。

「礼金」の慣習は東京の方がしっかりと残っており、関西では礼金なしの物件も多くあります。

「礼金」は謝礼なので、賃貸契約を終了し、引っ越す際には戻ってきません。

「礼金」の使い方

主に、不動産の賃貸契約の時などに使います。

「敷金」とセットで、使うことも多くなります。

「礼金」「敷金」と同じで、何ヶ月分と表すことが多くなります。

「礼金」を使った例文

・『引越しにかかる初期費用をどうしても安くしたいので、礼金を減らしてもらえないか交渉してみる』

・『物件を借りてくれる人がいないので、礼金なしで募集してみました』

・『1ヶ月分の家賃と同じ額を礼金として支払った』

・『礼金不要の物件を見つけた』

・『礼金を払うのが惜しい』

「礼金」の類語

感謝の心を表した金品や言葉という意味の「謝礼」【しゃれい】や、「報酬」【ほうしゅう】などが「礼金」の類語にあたります。

まとめ

賃貸契約の際などに、セットで「敷金」「礼金」と言っていることが多い二つの言葉ですが、性質が違います。

違いを知って、役立ててください。